AI半導体 エヌビディアvsトヨタ 頂上決戦#12Photo:Rodrigo Reyes Marin/AFLO

トヨタ自動車とパナソニックホールディングスが電気自動車(EV)用の電池事業で急接近している。国内で電池の増産を急ぐトヨタと、米テスラ依存からの脱却を目指すパナソニックは共通の利害がありそうだ。特集『AI半導体 エヌビディアvsトヨタ 頂上決戦』の#12では、両社の電池事業の全貌を大図解で解説し、歴史的に深い関係のある両社が国内で電池事業の「大連合」を形成する可能性を探る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

グループ挙げて車載電池を大増産も
需給逼迫するトヨタの次なる打ち手とは

 トヨタ自動車が車載電池の増産を急いでいる。電気自動車(EV)用の電池だけではなく、北米や欧州で復調しているハイブリッド車(HV)用の電池も増強の対象だ。
 
 7月末には、福岡県にEV用リチウムイオン電池工場を建設する計画が明らかになった。完全子会社のプライムアースEVエナジー(PEVE)の運営で、2025年にも着工し、稼働は28年以降になるとみられる。

 加えてトヨタは、エンジン部品などを生産する下山工場と明知工場で新たに電池の生産ラインを設ける予定。PEVEでは静岡県湖西市で新居工場を整備中だ。51%を出資する連結子会社プライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)の姫路工場でも、増強計画がある。

 トヨタはグループを挙げて車載電池の生産能力の増強に余念がない。それでも、30年にEV の世界販売を350万台にする計画やHV向け電池の旺盛な需要を鑑みれば、まだ足りない。

 トヨタの次なる打ち手は何か。次ページで、トヨタの電池事業と歴史的に深い繋がりを持つパナソニックとの「大連合」の可能性を探る。