「デュタステリドの方が2型5α還元酵素の阻害率が強いため高い効果が期待できます。臨床試験の結果では、性欲の低下、性機能障害、精子の数が減る、肝機能障害などの副作用は、フィナステリドよりもデュタステリドの方が若干多いと報告されています。
ただ、性機能障害はプラセボ(偽薬)を服用した人にも起こったので、精神的なことが影響している可能性もあります。実際に服用している患者さんたちで副作用が起こって止めたという人はいないので、当院では第一選択としてデュタステリドを勧めています」
1カ月にかかる費用は?
安いところは薬が未承認の可能性
気になるのは男性型脱毛症の薬を服用する場合の費用だが、いくらぐらいかかるのだろうか。
「男性型脱毛症には公的医療保険は使えず、全額自費診療になるため、費用は医療機関によって異なります。デュタステリドもフィナステリドもジェネリック(後発医薬品)が出ていますが、薬代はデュタステリドの方が若干高めです。診療料と処方料、薬剤料で1カ月に6000~1万円程度が相場ではないでしょうか。薬代が安いところは、日本で承認されていない輸入品の医薬品を使っている可能性があります」
ところで、インターネットで男性型脱毛症について検索すると、フィナステリドとミノキシジルの2剤併用を勧めているクリニックがある。その効果と安全性はどうなのだろうか。
「ミノキシジルの内服薬は、海外で高血圧の薬として使用されているものです。AGAクリニックや美容クリニックなどで処方されているタブレットは輸入品ですが、海外でもミノキシジルの内服薬を男性型脱毛症の薬として認可している国はありません。
顔や耳など不要な場所が多毛になることがありますし、血圧が急に下がったり心機能が低下したり、動悸・息切れなどの副作用が出る恐れがあります。処方する医師が、そういったリスクの説明をきちんとしていなかったり、副作用の確認をしていなかったりする場合には、大きな問題だと感じます」