一方、ミノキシジルの外用薬(塗り薬)については、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」でも推奨度Aであり、科学的にも効果と安全性が確認されている。薬局やドラッグストアで、薬剤師に使用方法や副作用、ほかの薬との相互作用などの説明を受けたうえで購入できる第一類医薬品として市販されているので、男性の場合は5%、女性は1%のミノキシジル外用薬を試すのが最も手軽な薄毛対策だ。
「男性の場合、デュタステリド0.5㎎を1日1回内服し、5%のミノキシジル外用薬を1日2回しっかり塗るのが、現時点で最も効果が高い治療法です」
薄毛は隔世遺伝か
予防のために薬を飲む必要は?
「薄毛は祖父母の代の体質が影響する隔世遺伝」との説がある。本当なのだろうか。
「確かに、男性型脱毛症は遺伝と男性ホルモンに影響され、父方の祖父が薄毛の人は遺伝の影響を受けやすい傾向があります。ただし、薄毛にはさまざまな要素が関与しており、父方の祖父や父親が薄毛だからといって、自分も薄毛になるとは限りません。
また、口の中の粘膜を採取して男性ホルモンの受容体に関与する遺伝子の塩基配列を解析し、将来の薄毛リスクをみるAGA遺伝子検査も実施されています。これもある医学論文を根拠にしていますが、これだけで確実に分かるものではありません。そもそも、男性型脱毛症の薬の予防的な服用は必要なく、薄毛が気になり始めたタイミングで服用を始めれば十分間に合います」
「髪には、昆布やワカメなどの海藻がよい」という説もあるが、これも迷信という。海藻を過剰に取り過ぎると、甲状腺機能低下症など甲状腺の病気になるリスクが高まるので要注意だ。
「栄養面では、亜鉛不足や鉄分の不足で薄毛になる場合があるので、過度なダイエットは控え、亜鉛と鉄はしっかり取りましょう。亜鉛は、カキ、牛肉、ウナギなど、鉄分は牛肉、豚肉、レバーなどに多く含まれます。また、紫外線は頭皮の活性酸素を増やすなどダメージを与えるので、夏は帽子をかぶるなど紫外線の当たり過ぎを防ぐことも重要です」