UFO写真はイメージです Photo:PIXTA

宇宙人に誘拐され、人体実験をされるという「アブダクション」。報告されているアブダクションの件数は、世界中でもアメリカが突出して多いという。それはいったいなぜなのだろうか。※本稿は、越智啓太『つくられる偽りの記憶 あなたの思い出は本物か?』(化学同人)の一部を抜粋・編集したものです。

エイリアンとの子どもを妊娠!?
数十万人が宇宙人の人体実験を主張

 1960年頃からアメリカでは、「宇宙人(エイリアン)に誘拐(アブダクション)され、人体実験をされた」と報告する人(アブダクティー)が徐々に現れてきました。その数は年々増加し、現在では驚くべきことに数十万人がそのような主張をしているといいます(アブダクティーの潜在人口は370万人という指摘もあります)。

 また、なかにはエイリアンとの間にできた子どもを妊娠したといっている人もいるくらいです。

 興味深いことに、このような主張をしている人は、アメリカにきわめて多く、ほかの国にはあまり存在しません。もちろん日本ではエイリアンに誘拐されたといっている人は、ほとんどいないと考えられています(もしいらっしゃったら、ご一報いただければ幸いです)。

 では、なぜこのようなことが生じているのでしょうか。ひとつの可能性として考えられるのは、実際にUFOが地球にやってきていて、エイリアンが人々を誘拐して人体実験をしているということです。実際、この問題に関するもっとも代表的な論客であるハーバード大学の精神科医ジョン・マックはそのように考えていました。

 マックが信じているこの説を笑い話として片づけてしまうのは簡単です。「UFOなんて想像の産物だし、エイリアンが地球人を誘拐するわけはない」といえばいいのです。