恒星間天体のオウムアウアを「エイリアンの宇宙船」と主張し、世界中で議論の渦を巻き起こしてきたのが、米ハーバード大学の“エイリアン・ハンター”こと天文学者のアヴィ・ローブ教授だ。特集『総予測2024』の本稿では、異星文明の証拠を探索する「ガリレオ・プロジェクト」を率いる同氏を直撃。安全保障上の観点などから米国をはじめとした主要国が重要視し、世界で新展開が続出中のUFO(未確認飛行物体)情勢を巡る最前線に迫った。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
国会でも「UFO」が議論の俎上に
“異星人の宇宙船”説の真相を直撃
「完全に認識を共有」――。木原稔防衛相は2023年12月上旬、衆議院安全保障委員会で、日本維新の会の浅川義治議員が「UAP(未確認異常現象)」を巡る危機意識を示すと、このように応じた。
UAPとは、NASA(米航空宇宙局)が近年、UFO(未確認飛行物体)などの総称として使うようになった言葉。浅川氏は政界屈指のUFO通とされ、以前から安全保障上の問題としてUFOを正面から取り上げるように提言してきた。
日本では、UFOと聞くと冷ややかな目で見る風潮が根強い。だが、世界では米国防総省(ペンタゴン)が22年7月、「全領域異常対策室(AARO)」を発足させ、解明を試みるなど各地で取り組みが進む。そこで今回、異星文明の証拠を探索する「ガリレオ・プロジェクト」を率いる米ハーバード大学の元天文学科長で、“エイリアン・ハンター”こと、アヴィ・ローブ教授を直撃した。
――ローブ教授は17年に史上初めて発見された恒星間天体の「オウムアウア」などが“異星人の宇宙船”であるとの説を唱え、世界中で論議を呼び起こしました。
ご指摘の通り、太陽系外から訪れた恒星間天体オウムアウアを17年10月に発見したのは米ハワイの天体望遠鏡でした。最初は誰もが岩の塊である小惑星にすぎないと考えましたが、詳細な観測データを集めるほど、この天体の奇妙さは増していったのです。
次ページでは、「宇宙に地球外生命体がいることは間違いない」と断じるローブ教授に、オウムアムアを「エイリアンの宇宙船」と唱える自説の真相や、今後のUFO関連の情報公開を巡る展望、なぜ安全保障上の観点からUFO研究が重要なのかなどについて、自身の考えを明らかにしてもらった。