何度か断ったものの
熱意に押されて了承
わたし、走れるでしょうか……。いやあ、無理ですよね。荷が重すぎます。たまたま一緒にいた息子は、「これは名誉なことだよ、俺も協力するから応募させていただいたら?」なんて言ってましたけど。
えぇ、たしかにわたしの「三ず」には「ひるまず」が入っています。それにしても、この「聖火ランナー」というのは、あまりにも唐突でしょう?この100歳を超えたおばあちゃんが……。それでね、もちろんお断りしましたよ。「わたしなんかに声をかけてくださって、大変ありがたいですけど、無理です」って。そうしたら職員さん、「そう言わずに」なんて、いろいろおっしゃるんですけど、わたしは首を縦には振れませんでした。そうしたら「じゃあ、また出直してきます」って。納得してあきらめたわけではなかったんですね(笑)。でも、とにかくお帰りになったからホッとしました。
人生おもしろいですね、こんな申し出をいただくなんて。その夜、寝る前に昼間のことを思い出して、ひとり笑ってしまいました。
そんなことがあった3日後、また我が家に来客がありました。ドアを開けて入ってきた人の顔を見て、わたしはまたびっくりしました。なんと立っておられたのは、わたしが住む那珂川町の町長さんの福島泰夫さんでした。
「箱石さん、ぜひ聖火ランナーに応募してください!箱石さんは町の誉れですから!」なんておっしゃって。わたしが聖火ランナーに応募することが「この町のためになる」って熱心に説明していただいて、それで、あとに引けなくなった、というのが本当のところです。まずは応募の手続きをしてくださるということになりましたけど、そのときはまだピンと来てなかったですね。
狐につままれているようなね、何がなんだかわからないまま流れに乗ってしまいました。応募して当選したら、この続きはまたそのときに考えることにいたしましょう、という感じでした。あまりにも大きなことで、どう心構えをしたらいいのかさえよくわからなかったというのが、正直なところだったんです。