預金と変わらない「安心感」
物価上昇率を上回る運用成果
では、米国債とは何なのか。
あまりなじみのない米国債とは、その名のとおり米国(アメリカ)が発行する債券です。日本にも政府発行の日本国債があるように、米国政府が広く資金を調達するために発行するのが米国債です。
米国政府にお金を貸し付けるイメージでしょうか。貸し付けたお金の返済期日を償還日と言います。償還日には、米国が破綻しない限り、貸し付けたお金が全額返金されます。
日本政府は世界でもっとも多くの米国債を保有しています。
それでも米国に対して、ネット上を中心にデフォルトの危険があるとか、トランプ氏が次期大統領に就任することでアメリカ経済が不安になる指摘するかたもいます。
しかし、本当でしょうか。
米国は世界一の経済大国です。経済は今なお強く、発展し続けています。その証拠の一つが、GAFAMであり、現在の円安だと言えます。その米国が破綻するとは考えられません。だからこそ米国債は預金とほぼ遜色のない「安心感」をもって確実な利回りが享受できる理想的な金融商品だと本書では解説しています。
一方、米ドル建て社債についてですが、文字とおり企業が米ドル建てで発行する債券のことです。通貨は米ドル建てですが、発行体は必ずしも米国企業とは限りません。たとえば、日本の金融機関を含む民間企業などでも、米ドル建て社債を発行している企業はあります。米ドル建て社債を発行することで世界中から資金を集めることができるからです。逆にそれだけ信用と実績がないと世界の投資家から資金を集められないので、米ドル建て社債を発行している企業の多くは経営もしっかりしているとも言えます。
ただ、一般的に民間企業と国家の信用リスクを比較した場合、確かに民間企業のほうが信用リスクは高くなりますが、「世の中の変わらないニーズ」に支えられてビジネスを行っている企業であれば、リスクは極めて小さいと言えます。
民間企業の社債が株式とどう違うのかという疑問を抱く方もいると思います。その違いについて本書では「債券を買うというのは、その発行体に資金を貸す」ことであり、株式は「出資を募るための有価証券」であり「会社の共同オーナー」になるようなものと説明します。
つまり会社の共同出資者になるのか、資金を貸し付ける側になるのかの違いと言えるでしょう。だから、社債発行企業から返済日=償還日には利息をつけて約束通り返済されるのが社債なのです。
このように米国債や米ドル建て社債は、預金とあまり変わらない「安心感」を持っていることに加え、預金を大きく上回る利回りが期待できるこという点が大きな魅力と本書では解説します。
だからこそ、「これらの債券を相当の割合で資産運用に組み入れれば、物価上昇率を上回る運用成果を実現し、資産価値の目減りを防ぐことも不可能ではない」とも。