物価上昇率2% インフレ時代の資産防衛
物価はこの2年ほどで急激に上がり、2025年は24年以上に多くの商品が値上がりする見込みだという。それなのに給与も年金も物価の上昇には追い付かず、実質的賃金は横ばいか、ほとんどがダウン。金融機関に託しても、いまだに1%にも満たない利率が続いている。『資産防衛なら預金よりも米国債を買いなさい!』の著者(中川浩:FPL証券代表取締役会長)の試算によると「今、2000万円の資産を得たとしても、昨今の物価上昇が続くと20年後の実質価値は1346万円となる」という。手持ち資産が650万円以上も目減りすることになる。
そこで、同書の内容を踏まえながら、インフレ時代の資産防衛策について紹介します。
物価上昇が長期化、恒常化し
円高が続く時代にどう資産価値を守るか
「インフレはいつまで続くのか?」
「このまま物価が上がり続けると老後資金が足りなくなってしまうのではないか」
50代、60代の方々は、そんな不安を抱えているのではないでしょうか。
実際、昨今の物価上昇率は年2%です。経済アナリストたちの一般的な見立ては、この先も物価は上がり続けるというものです。日本銀行(日銀)も年2%の上昇を「物価安定の目標」としており、さらに円安が、このインフレの長期化、恒常化の可能性を高めていると考えられます。
インフレが長期化し物価が上がり続ければ、お金の価値がどんどん目減りします。毎月の食費が、光熱費が、交通費が、外食費などが毎年2%ずつアップするのですから貨幣の価値が下がるのは当然です。その結果、2000万円の実質的な価値が1346万円になってしまうのです。
つまりインフレ期に現金で持ち続けることが、資産価値を大きく目減りさせる原因になります。それなら金融機関に預けたらいいだろうと考える方もいるでしょうが、現在の金利は、普通預金が0.1%ほど、5年物定期預金でもせいぜい0.25%程度なのです。物価上昇率2%には、遥かにおよびません。
円安も長期化の様相を呈していますし、今後のインフレ長期化、恒常化する時代には少なくとも物価上昇率を上回るくらいの利回りが得られるような資産運用を行う必要があるのです。
2024年の大きな話題は「新NISA」と言えるでしょう。たしかに株式投資やNISAは、その点では、物価上昇率を上回る利回りは期待できます。しかし大きく元本割れの心配があります。事実、今年の夏には1日で日経平均が4400円以上も下げました。
そもそも全ての株式が上がると限らないのです。
そこで、あまりリスクを取らず、インフレに負けない運用成果を得たいと考える方にとっては、どんな資産運用があるのか。
本書では、そんな資産運用商品を「米国債や米ドル建て社債などが、とても理想にかなった金融商品」と説いています。