「就活セクシズム」から「ゆるブラック企業」「ジェネリック服装自由化おじさん」まで…令和の“お仕事用語”26選常見陽平氏
千葉商科大学 国際教養学部准教授 働き方評論家
つねみ・ようへい/一橋大学大学院社会学研究科修了。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業を経て、千葉商科大学国際教養学部准教授。著書に『「就活」と日本社会 平等幻想を超えて』(NHKブックス)、『なぜ、残業は無くならないのか』(祥伝社新書)。

【トリコン】
会社員の間では「トリビー」は「とりあえずビール」の略だ。「トリコン」は「とりあえずコンニャク」ではなく、「とりあえずコンサルティング会社」の意味である。コンサルティング会社は、ビジネススキルが付き、人脈も広がり収入も良く、転職もしやすい。選考ではロジカルシンキングの力などが問われる。内定したことを自慢できるのもポイントだ。

【ゆるブラック企業】
働き方改革や労働法制の改正により、長時間労働は規制され、パワハラやカスハラも防止されるようになった。一方で、やりがい、成長感がない企業が増えている。働いていると使い物にならなくなるゆるい職場を「ゆるブラック企業」と呼ぶ。若者を使いつぶすブラック企業は問題だが、自分を退化させる企業も若者は問題視している。

【就活セクシズム】
就活マニュアルなどにおける、容姿や振る舞いに関する指南が、男性性、女性性を強要している点などから批判を集めている。一部の企業では、就活セクハラ、男女差別の撤廃、さらには多様性への配慮などから、エントリーシートにおいて写真欄や性別欄をなくす動きなどが進んでいる。求職者に配慮した採用活動が求められている。

【ジンチカ、ガクチカ】
就活でよく聞かれる「学生時代に力を入れたこと」を「ガクチカ」と呼ぶ。もっとも、新型コロナウイルスショックで学生生活の自由度が下がった時期があった。また、現代の大学生活は講義の課題、アルバイト、長時間の通学などで何かに打ち込む時間を確保しにくい。そのため「人生で力を入れてきたこと」である「ジンチカ」を聞く動きがある。

【石の上にも半年】
新卒一括採用は根強く残っているが、入社する企業を「最初の一社」「ファーストキャリア」などと位置付ける学生が増えてきたといわれる。条件が合わない場合は、すぐに転職する。下積みの期間は今では「石の上にも半年」だともいわれる。早期離職=打たれ弱いと評されるわけではないし、転職先は多数ある。企業はいかに人材を定着させるか問われている。