看板業者から始まり、常にリテールの現場の変化を見てきたLMIグループ株式会社は、最もリテールに近い立場で、誰もが簡単に参入できる新しいメディアの研究や開発に取り組んでいる。ここでは、リテールメディアへの新技術の導入を推進し、成長を促しているLMIグループ株式会社の共同創業者であり、取締役副社長を務める望田竜太氏がこのたび刊行した書籍『人を幸せにする広告戦略』(ダイヤモンド社)から一部を抜粋し、再編集して紹介します。
AdCoinz(トクスルビジョン)の基本的なスキーム
LMIグループ株式会社 取締役副社長 共同創業者
早稲田大学卒業後、リサ・パートナーズにてPEファンド部門に所属。投資実行・投資先のバリューアップ及び管理業務に携わる。その後、PwCコンサルティングの戦略チームに転じBDD、PMI、業務改革、新規事業創出、DXなど、さまざまなテーマを経験。2020年より取締役COO&CSOとしてLMIグループに参画。2022年3月取締役副社長に就任。新規事業開発に強みを持ち、ビジネスモデル特許を複数発明。
リテールメディアは可能性が高く、意義や大切さも理解しているものの、各リテール企業がリテールメディアに進出するには、負担や課題が大きい……リテール企業が長い間抱えてきた、投資負担の重さ、運用・営業の難しさ、媒体作りの難しさ、効果測定の難しさ……などをまとめて解決し、リテール、広告主、消費者すべてがメリットを実感できるリテールメディアを作りたいーー。
AdCoinzは、そうした考えのもと、2023年11月に始まりました。リテールメディアとして使用する独自の端末を当社で開発した上、すでに実績も重ねています(「AdCoinz」は2024年12月より「トクスルビジョン」にサービス名を変更しました)。
まず、AdCoinz(トクスルビジョン)の特徴や仕組みを、リテール、広告主、来店客別に整理すると、次の図のようになります。
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▼リテール
・提供するのはロケーション(置き場所)とトラフィック(人流)のみ
・運用はAdCoinz(トクスルビジョン)側で行う
・設置によって設置代を得られる
・来店者のデータを得られる
・来店客が受けた「リワード」が売上に加わる可能性がある
・広告料からのレベニューシェアが得られる
リテール企業が提供するのは、基本的に設置場所(+通信手段や電源)のみ、つまり普段店頭に訪れるお客さまの「人流」自体が重要となります。
端末機器の代金を負担する必要はなく、技術面も含め、設置もAdCoinz(トクスルビジョン)(LMIグループ)側が最適な位置を相談しながら安全を確保した上で行います。その上、AdCoinz(トクスルビジョン)側から設置代を受け取れるため、基本的にノーリスクでスタートできます。
設置されるAdCoinz(トクスルビジョン)端末がリテールメディアとして機能しますが、機材だけでなく、広告媒体の制作や配信、運用はすべてAdCoinz(トクスルビジョン)側で行うため、ランニングに際しての負担も最小化できます。
表示された広告に来店客(消費者)がアクションした場合、来店客は設置場所のリテールで使用できる広告主からの「リワード」、典型的には割引クーポンなどを受け取れ、即座にリテールで使用することができるため、リテール側はいち早い売上アップが期待できます。リテール側からAdCoinz(トクスルビジョン)に「人」を配置し、声かけをすることで売上アップを目指すこともできます。
広告を見て広告主のサービスを購買した場合は、リテール企業にもレベニューシェアが行われます。
また、広告が自社の運営にマッチしない場合は、断ることも可能です。
さらに、AdCoinz(トクスルビジョン)で収集した来店客の人流データを、相談の上で提供することも可能です。人流の分析など、自社の販売促進のために活用していただけます。