現在、D2C通販事業を中心に、年商約20億円の会社の経営者となった山口武氏。山口氏は自らを「はぐれ者」「厄介者」だったと振り返る。それは、新卒で大企業に就職したものの、
ここでは、そんな彼による初めて著書『どこにも居場所のなかった僕が見つけた「じぶんごと通販」の起業戦略』から一部を抜粋し、再編集して紹介します。
「意見調整」には最悪の罠がある
株式会社エレファント代表取締役社長。1977年、埼玉県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、大手食品メーカーに就職するも5ヶ月で退職し、小説家を目指すが挫折。転職を繰り返した後、通販ベンチャーに入社し、管理職として年商120億円の達成に貢献。さらに通販会社やコンサルティング会社を経て独自の通販立ち上げ手法を確立する。2014年、株式会社エレファントを創業。D2C・単品リピート通販の「ゼロ立ち上げ」に特化したコンサルティングを行いつつ、2017年から敏感肌のこどもスキンケアブランド『nico』をはじめとする自社事業も展開している。現在はグループ4社で通販に限らない商品企画・販売事業および事業立ち上げのコンサルティングを行っている。
僕の経験上、会議への参加人数がやたらと多い会社が失敗することが多いのは、意見調整が必要になってくるからです。意見調整は、人が多いほど必要になってきます。
僕は、意見調整はしてはいけない、と考えています。なぜかと言えば、意見調整によってコンセプトのブレが生じてしまうことがあるからです。
意見を調整するというのは、根拠となる理屈と事例に基づいて互いを納得させる作業です。ところが、理屈が通用しない相手や理屈に納得しない相手に対しては、具体的な成功事例をもち出すしかなくなります。部下が上司に、同僚が互いに、クライアントがコンサルに求めるのも、「本当に売れるのか?」「本当に当たるのか?」という成功事例の提示です。
成功事例に基づいて多人数で意見を調整していくと、当初のアイデアはどんどん丸くなっていきます。「丸くなる」とは、他のいくつもの会社がやろうとしていることと似たり寄ったりになっていく、ということです。あるいは、他社と同じテーマに行きつくことになってしまうのです。
「美白ならオールインワンゲルでしょ」
「保湿なら、中身はコラーゲン」
「やはりビタミンCじゃない?」
……という具合に、誰もが「そうだね、いいよね」と納得しやすい内容へと流されていってしまうわけです。