ワーク・エンゲージメントを向上させるメカニズム
ジョブ・クラフティングに取り組むことは、ワーク・エンゲージメントを高める効果を持つ。ここでは、そのメカニズムを2つのルートで解説してもらった。
高尾 最初のルートは、仕事のミスフィット感を縮小させるものです。仕事をしていくと、「この仕事は自分には合わない」というミスフィットを感じることがあります。そんなときに、自分をひと匙入れて、仕事を自分の方に引き寄せることで、自分には合わないと思っていた仕事がそうでもないと思えるようになり、モチベーションやエンゲージメントを向上させるというものです。もう一つのルートは、特に認知的クラフティングに関わるものですが、自分なりに仕事を捉え直し、「この仕事には意味がある」という意味づけができると、仕事の意義深さを実感できるようになり、そのことがモチベーションやエンゲージメントの向上につながるというものです。
積極的にジョブ・クラフティングに取り組むためには“ジョブ・クラフティング・マインドセット”を持つことが大切となる。
高尾 仕事のボリュームが100あるとすれば、そのうちの5でも10でも自分のひと匙を入れられる仕事が見つかり、それが広がっていくことで、仕事全体に対する気持ち、エンゲージメントが変わってくると思います。
ジョブ・クラフティングは、働く人が自ら主体的に仕事に変化を加えていく取り組みです。一方で、自分の仕事は固定されているもの、仕事そのものは変えられないと考えている人が多くいます。そうした考えの人は、ジョブ・クラフティングに対して消極的な姿勢になりがちです。積極的にジョブ・クラフティングを行うためには、「自分はジョブ・クラフティングを通じて仕事を変えることができる」というジョブ・クラフティング・マインドセットを持つことが大切です。マインドセットを変えることで、それまで消極的な姿勢だった人も、ジョブ・クラフティングに対する意欲を高めやすくなります。