『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(C)2024 Media Asia Film Production Limited Entertaining Power Co. Limited One Cool Film Production Limited Lian Ray Pictures Co., Ltd All Rights Reserved.『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(C)2024 Media Asia Film Production Limited Entertaining Power Co. Limited One Cool Film Production Limited Lian Ray Pictures Co., Ltd All Rights Reserved. 拡大画像表示

長いこと元気がなかった香港映画界に、再び活気が戻ってきている。2024年は興行成績1億ドル越えの大ヒット作品が続々誕生。そのうちの1本、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』が来年1月17日から日本で公開される。同作品のアクション監督・谷垣健治さんは、1990年代に香港に移住、それからずっと映画の制作現場で活躍してきた。ジャッキー・チェンやサモハン・キンポーといったアクションスター、ワイヤーアクションの伝統を生んだ香港映画の撮影現場はどう変わってきているのか?谷垣さんに聞いた。(フリーランスライター ふるまいよしこ)

あなたのイメージする「香港映画」は?

 香港映画が純粋に娯楽だった時代を、あなたは覚えているだろうか。もし、覚えているなら、脳裏にはどんなシーンが浮かぶだろう? ビクトリア港あるいはビクトリアーピークからの林立する高層ビルを一望するスペクタクルな風景、それともとにかくハチャメチャで「なんでもアリ」だったコメディ? クールに気取ったマフィアとその背景の対象的な情熱ネオンサイン?

 筆者は1990年代、香港映画が最も元気だった頃、「広東語の勉強」と称して足しげく現地で映画館に通った。その結果、香港映画から学んだのは言葉だけではなかった。

 香港人の生活習慣や他者との付き合い方、さらには中国から大量に流れ込んできた人たちがいかに香港社会を作ってきたのか、そしてそこにはどんな出自の人たちがいるのか――そんな、香港社会では「いわずもがな」のさまざまなエッセンスを映画から知った。

 あれからもう30年あまり。正直ここ20年ほど、すっかり「香港らしい映画」とはご無沙汰だった。そこに、昨年公開された『毒舌大状』の興行成績が香港映画史上初の1億香港ドルを突破(『毒舌弁護人〜正義への戦い〜』の邦題で日本でも公開された。詳細は記事を参照)、今年も続いて「1億香港ドル超え」作品が続々と誕生している。

 そのうちの1本、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』 が来年1月17日に日本での正式公開が決まった。ものすごく評判になっていたので今年6月に香港で観てきたのだが、とにかく話題が盛りだくさんの一作で、周囲の観客席から人々がワクワクしながら観ているのが伝わってきた。