先日、「内戦で廃虚になったシリア・ダマスカス郊外の街で、ジャッキー・チェンがプロデュースする映画を撮影する。ストーリーは中国政府が内戦の街から中国人を脱出させるもの」というニュースが流れ、「ひどい話だ」「プロパガンダ映画じゃないか」「ジャッキーも堕(お)ちたものだ」と一部で話題になっていた。ジャッキー・チェン(成龍)といえば、1980~90年代に日本でも大変な人気を誇り、その後ハリウッドにも進出した香港映画の大スターである。現在のジャッキーの中華圏におけるイメージは、そして今香港の映画界はどうなっているのかというと……。(フリーライター ふるまいよしこ)
内戦で廃虚と化したシリアの町で、
ジャッキー・チェンが映画を製作
「ジャッキー・チェンがシリアで映画を撮る」という報道に、ネットの一部かいわいがザワついているという。ついては中華圏の風向きは?と尋ねられたので、中華圏SNSをのぞいてみたのだが、波風どころか、検索しても話題にすらなっていなかった。
元記事はAFPの外電で、日本で流れた「廃虚の街で映画撮影 J・チェンさんプロデュース―シリア」という記事はそれをチョチョイと意訳した短いものだ。ジャッキー・チェンがプロデュースする映画で、現地入りした撮影チームを駐シリア中国大使も視察したという。
AFPの元記事には、記者が実際に現場入りした撮影関係者にインタビューしたコメントも載っており、全体的に、この撮影計画に対して否定的な論調になっている。だが、日本で高い知名度を持つジャッキー・チェンがプロデュースする次回作の話題としてそれを転載したらしい日本語記事では、原文記事が持つ否定的な論調は中和されてしまっている。