香港映画発のワイヤーアクションが、撮影のデジタル化で進化

 ワイヤーアクションは香港で独自に発展した世界に誇る技術で、今では米国や日本のアクションシーンでも普通に使われるようになった。調べてみると、テクミロンとは、デンタルフロスなどに使われている素材らしい。そのワイヤーが消せるようになった結果、撮れる「画」も変わったという。

「あと、香港でも2008年くらいまではフィルムで撮っていましたが、2010年代にはみんなデジタルに移りました。これによってポスプロ全体の作業効率は格段に上がりました」(谷垣さん)

 まぁ、これは世界の趨勢とも重なっているわけですよね……と思っていたところ、こんなエピソードも。

「デジタルな世の中になって、現場運営がすごく便利になりました。というのは、撮影中こっちでモニターを見ながらそれを撮って、「WhatsAPP」や「LINE」、「微信 WeChat」で役者さんのそばにいるスタッフに動画が送れるようになった。たとえば、僕なんかが『もっとパワフルに』と言葉で指示するより、動画で自分の姿を確認してもらった方が確実に効果的です。そして修正がすぐ効く。iMovieでその場で簡易的な編集もできるし。画期的でした」(谷垣さん)

 へぇぇぇぇ……モニターを見ながら怒鳴る監督と、それを伝えにセットの中にいる役者さんのところに走る助監督……なんて素人が想像する図式はもう古いらしい。

一番左が今回お話を聞いたアクション監督の谷垣健治さん、右から二番目が鄭保瑞監督 (C)2024 Media Asia Film Production Limited Entertaining Power Co. Limited One Cool Film Production Limited Lian Ray Pictures Co., Ltd All Rights Reserved.一番左が今回お話を聞いたアクション監督の谷垣健治さん、右から二番目が鄭保瑞監督 (C)2024 Media Asia Film Production Limited Entertaining Power Co. Limited One Cool Film Production Limited Lian Ray Pictures Co., Ltd All Rights Reserved. 拡大画像表示