「みんなが好き」な商品はボツ

ドンキのフライドチキンの皮だけ弁当「そりゃ売れるわ!」と思える納得の理由ドン・キホーテの「フライドチキンの皮だけ弁当」(提供)

 犬塚さんは偏愛めし開発の難しさについて、万人受けを狙わない部分だと話す。

「スタートにあたり経営陣に実際の商品を見せた際に『もっとドン・キホーテらしさを出せ』『もっと振り切れ』と意見をいただきました。製品開発の段階で、それまでの経験もあり、どうしても『みんなの75点』の方に知らずに寄せてしまっていましたが、その一言でより振り切り度合いが加速しました」

「開発にあたっては、美味しいのは当たり前で例えばケチャップを大量にかけたオムライスみたいに、みんなが好きと言ってしまうような商品はボツになってしまいます。『フライドチキンの皮だけ弁当』のように10人中2〜3人だけが完食するくらいの商品のほうが、偏愛めしとしてはいい商品だなと思っています。開発のメンバーには置きに行かないようにとアドバイスしています」

 犬塚さんは今後について、“偏愛”というテーマをさらに広げ、健康志向の商品にも挑戦したいと語る。

「例えば味は濃いけど糖質が少ない、緑黄色野菜が取れるといった新しい形の“健康偏愛”を狙いたいですね」

 ドン・キホーテの“偏愛めし”は、常識にとらわれず、独自の道を進む商品開発の好例と言える。これからも振り切った商品で私たちを驚かせてくれそうだ。