銀行危険度ランキング2024#2Photo:PIXTA

金融政策が転換して市場金利が上昇に転じても、多くの地方銀行では利ざやの改善が進んでいない。その状況が反映された2024年3月期の最新決算を基に、特集『銀行危険度ランキング2024』(全6回)の#2では、全105行の本業利益率ランキングを作成した。22年3月期決算時に同じ条件で作成した順位と比較すると、赤字行が半数以下に減った一方、いまだ赤字に陥っている地銀にはある傾向が見られることも分かった。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

金利復活も利ざやは改善せず
本業赤字の12行はどこ?

 2023年7月に日本銀行がYCC(イールドカーブ・コントロール)を柔軟化した際、国内金利が上昇した。それに伴い、銀行が企業へ融資する貸出金の金利も上昇して、利ざやが改善すると業界内で期待された。

 だが、実際に利ざやが本格的に改善するのはもう少し先の話だろう。多くの銀行が先に直面したのは、貸出金利ではなく預金金利の上昇だったからだ。

 23年10月に日銀がYCCの再柔軟化を決めた翌日、三菱UFJ銀行は10年物の定期預金金利を0.002%から0.2%へ引き上げると発表。預金金利の引き上げ圧力は、全国の地方銀行へと波及した。

 そして大きな転換点となったのが、24年3月のマイナス金利解除である。大手行が一斉に普通預金金利を0.02%に引き上げ、中小の地銀も即座に追随した。

 メガバンクや大手行と異なり、地銀はTIBOR(タイボー、東京銀行間取引金利)に代表されるような市場連動型の貸し出しの割合が小さい。利上げがあっても貸出金利がすぐに連動して上がるわけではないため、特に金融機関同士の競争が激しいエリアでは貸出金利をなかなか引き上げられない。実際、24年3月末にかけて利ざやが一向に改善しない状況が続いていた。

 このような状況を反映した本業利益率ランキングの結果はどうか。22年3月期に同じ条件で算出したランキングと比較すると、本業利益が赤字の銀行は27行から12行に減少した。利ざやが悪化した銀行は半数を超えたものの、貸出金残高は105行中94行で増加し、役務取引等利益も97行で増加したためだ。

 では、それでもなお本業赤字から脱却できていない12行はどこか。次ページでその銀行名を明かすとともに、22年3月期決算時に同じ条件で作成した本業利益率の順位と比較し、その傾向を探った。