2024年は銀行業界にとって、金利上昇による事業環境の好転がはっきりと業績に反映された年となった。3メガバンクは最高益更新は確実で、地方銀行も業績を伸ばしている。25年はどのような年になるのか。特集『総予測2025』の本稿では、3メガと地銀それぞれに浮上している、新たな難問とリスクについて解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
金利上昇で事業環境が好転
相次ぐMBOで難問が浮上
「銀行は今、これまで経験したことのない初めての環境に身を置いている」。
こう話すのは大手銀行の首脳だ。
“経験したことのない環境”とはすなわち、金利が完全自由化され、かつインフレの状況である。金利が完全自由化されたのは1994年10月。だがその直後から日本は景気後退とデフレに突入し、金利は四半世紀もの間、低く抑えられていた。
従ってマイナス金利政策が解除された2024年3月19日は、銀行にとって大きな意味を持つ歴史的な日だった。
24年、銀行各行は初めて経験する事業環境の心地よさをかみ締めた年だったに違いない。金利の先高観が国内企業の設備投資意欲に火を付け、賃上げによって個人消費も活発化した。何より、金利の上昇で企業への貸出金利が上昇し、本業収益の増加が望めるようになったのだ。
3メガバンクの足元の業績は絶好調だ。だが25年が銀行業界にとって平穏な年になるかと言えば、そうは言い切れない。ここ数年、産業界で相次ぐ巨額MBOをきっかけに、銀行業界には新たな難問が降りかかっているのだ。それは銀行業界、とりわけ3メガバンクにとって、25年の大きなテーマとなりそうだ。次ページで詳しく解説していく。