異文化の相手の場合は、特にこのことが当てはまります。

 まず、育ってきた環境がまるで違います。共有している経験も多くありません。おまけに言葉も完璧には通じません。たとえるなら、つねに大きな「違いの壁」が立ちはだかっているような状態です。

 ただ、日本人がこうした異文化の壁をきちんと乗り越えられているかというと、かなり疑問です。多くの人は違いに違和感を覚えながらも、自ら何もアクションを起こしていないのではないでしょうか。そして、いつか相手が自分に近づいてくれることを期待し、自分は全く変わろうとしない人が多いように感じます。

 違いを受け入れ、その違いを克服しようとしていないのですから、当然コミュニケーションもうまくはいきません。

 私は長年、製造業やサービス業の現場で異文化マネジメントに携わり、現在は外国人材とのコミュニケーションに悩む多くのビジネスパーソンに指導を行っています。知見やデータ、経験則は、高い普遍性があると自負しています。

 いまからお話しするやり方や考え方がわかれば、相手との違いを楽しめるようになります。青のパンダだろうとピンクのパンダだろうと、すんなり受け入れられるようになるでしょう。違いを楽しめるようになれば、あなたの周りからやっかいな相手はいなくなるはずです。

管理職のストレスは
10年前とは段違い

 初めて外国人の部下を持つようになった管理職のみなさんに話を聞いたときのこと。

「何か困っていることありますか?」との問いに、返ってきた答えは予想どおりの嘆き節ばかりでした。

「やたらとイレギュラー対応が増えた」「日本人がやらないことをするから、ビックリする」「いちいち確認しなければならないので、とにかく時間がかかる」