【和田秀樹医師が説く】「介護ロボット」「自動運転の高速車いす」が叶える高齢者の明るすぎる未来写真はイメージです Photo:PIXTA

AIの進化によって、シニア世代の生活には、さまざまな可能性とチャンスが広がっている。英会話は、優秀なAI翻訳サービスを使えばOK。おひとりさまの介護の不安はロボットが解消。完全自動運転の自動車が実現すれば、シニアの免許返納も不要だ。高齢者専門の精神科医である和田秀樹氏が、限りなく実現可能な朗報をもたらす。本稿は、和田秀樹『AIを賢く利用して 老後を図々しく生きる』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

なくしもの、買い忘れなどの
「うっかり」もAIが解決

 実際にAIが身近になると、暮らしはどう変化するのでしょうか?私の推測も含みつつ、十分に実現可能だと考えられる例をお話しします。

 たとえば、家の中でものをなくしてしまうことはないでしょうか?絶対家の中にあるはずなのに、いつもの場所にない……。私もあてはまるのですが、酔っぱらって帰宅した次の日の朝、鍵をどこに置いたのか覚えていなくて探し回ることがあります。

 また、何を買ったのかを忘れて、すぐに同じものを買ってきてしまう。認知症の患者さんの家族からよく聞く話ですが、認知症ではなくても、うっかりやらかしてしまうことはありますよね。

 AIを搭載したアイテムを手に入れれば、こうした日常の「うっかり」をすぐに解決してくれるはずです。たとえば、持ち主の行動をドライブレコーダーのように詳細に記録してくれる腕時計などがあれば、「鍵はどこ?」と聞くだけで、「昨日の23時にズボンのポケットに入れました」なんて答えてくれるわけです。冷蔵庫の中身も腕時計が見ていてくれて、スーパーで卵を買おうとしたときに、「冷蔵庫に1パックありますよ」なんて教えてくれれば安心ですね。

 ちなみに、AIを搭載した腕時計はすでにスマートウォッチとして販売されています。現在の用途は主に心拍数や睡眠時間などを記録してくれたり、異常値を検知すると知らせてくれたりする健康維持を目的とされていますが、これが進化すれば何をどこに置いたかなどの行動分析もできるでしょう。

英会話は勉強しなくてOK
AI翻訳サービスにおまかせ

 AIが驚異的なスピードで進化しているのですから、5年後、10年後になったら今の常識はガラッと変わっていてもおかしくありません。私が10年後にはほぼ必要なくなるだろうと思っているのが、英会話のスキルです。

 翻訳力も同じようにどんどん正確なものになっています。

 今までは留学したり、英会話教室に通って一生懸命語学を勉強したりしなければ海外交流は難しかったものですが、これからは語学の壁はなくなるはずです。近い将来、誰もが自由に世界中の人と会話を楽しめるようになるでしょう。

 昔、榊原英資さんという「ミスター円」と呼ばれた財務官がいました。彼は歴代の財務官の中で最も英語が堪能だったともいわれている人物です。あるとき対談させていただいた際に、いみじくもこんなことをおっしゃっていました。