「私はおそらく英語がかなりできるほうだと思うけれど、英語で考えると日本語で考えるのに比べて、思考速度が3分の1に落ちるんだ」

 どんなに外国語が堪能になったとしても、頭の中で一度日本語から外国語へ変換する手間がかかる分、思考速度も格段に落ちてしまう、ということなのです。英語が達者な人ですらそう感じるのですから、少し英会話をかじった程度ではなおさらでしょう。

 すでにスマホにもAIの翻訳機能が付いていますし、ポケトーク(翻訳機)やDeepLなど、AIを使った優れた翻訳ツールが登場しています。ポケトークにいたってはほぼ日常会話は通じますから、あと1、2年もすればビジネス会話もできるようになるのではないでしょうか。英語以外の外国語も同様です。

 翻訳ツールを活用すれば思考速度が落ちることもありませんから、通常の会話はもちろん、議論や交渉事にも有効にはたらくでしょう。「機械を使うなんてかっこ悪い」などと思わずに、堂々とAIに頼ったほうが効率的なのです。

 外国語の文章を読むのもAIにはかないません。ただ、英語で日常会話ができると多少、相手との距離は近くなれるかもしれません。しかし、人と仲良くなるためには役に立っても、ハイレベルのコミュニケーションをとる目的には、さほど意味をなさなくなるでしょう。

自動運転の高速車いすも
理論上は実現可能

 AIを搭載した自動車の自動運転技術は年々進歩していますが、車いすだって進化できる可能性があります。危険を察知してブレーキをかけてくれたり人や障害物を避けてくれたりするのであれば、理論上、車いすは時速100kmのものもつくれるはずです。完全自動運転の車いすができれば、足の不自由な方も大変気軽に遠出ができるようになります(安全上、ヘルメットなどは必要になるでしょうが)。

「ちょっと箱根に行ってくるね」なんて車いすに乗ってプラッと温泉に行けたら楽しいでしょうね。誰かの手を煩わせることなく、好きなときに好きな所へ行けるようになれば、身体が不自由な方の世界が格段に広がるはずです。

 ちなみに、自動運転技術はレベル0から5までに区分されていて、5に近づくほど、ドライバー(人)よりもシステムが主体的に運転することを意味します。たとえば、衝突回避の自動ブレーキシステムはレベル1(運転を支援する)相当、レベル2(部分的に自動運転)は高速道路で車間を調整しながら運転してくれるクルーズコントロール機能のようなものです。