そもそも、バザーの出品物は基本的に拠出を呼びかけて集めた不用品だ。主催者はそのひとつひとつに値付けをしていく。原価がゼロなので、いくらで売っても損することはない。とはいえ、バザーの主催者は、出品物を販売して得た収入を活動資金に当てたり、寄付したりする。そういった意味では、買い手がつく最も高い値付けをしたいはずである。Sが中古レンズの購入前に確認したように、フリマサイトの価格を参考にすることだろう。
1つだけ、フリマサイトとバザーでは勝手が違う点がある。それはバザーには時間の制限があるということだ。数日程度の開催期間中に、できるだけ商品を売り切りたい。
それがバザー主催者の本音だろう。もちろん数点の売れ残りは、バザー終了後にフリマサイトなどで売ることも可能だ。しかし、出品や発送を誰がやるか、商品の保管場所はどうするか、有志によって運営される非営利団体にとってはなかなか煩雑な問題だ。
そうした事情から、一部の物品に関しては、チャリティバザーとフリマサイトの相場に、乖離が発生するのではないだろうか。
とすれば、バザーで仕入れた物品をフリマアプリで転売するというスキームは有効に思える……。
目前のチャリティバザーはこの日が最終日だったようで、転売できそうな商品はすでに残っていない。そこで、スマホで検索してみたところ、チャリティバザーやコミュニティバザーの類は、春から秋にかけて至るところで開催されていることが分かった。
売れ筋のアイテムは
スポーツ用品とキャンプ用品
それから、Sは毎週末のようにバザーに出かけるようになる。当初は、登山靴やバックパックなどのアウトドアグッズから、子供のおもちゃ、キッチン用品、衣料品まで、ジャンルは問わなかった。現場でめぼしい出品物があれば、その場でフリマアプリを開いて相場を確認し、利幅が取れそうなものは、電車で持ち帰れる限り購入していった。
一方で、フリマサイトで過去に取引履歴のないようなものや、そもそも商品名が不明で検索しようのないもの、真贋の判別がつかない骨董品や美術品、素人目には状態が確認しにくい楽器などは避けた。
バザー通いを2カ月ほど続けてわかったことがいくつかある。