中国と立場逆転!?日本で今「高級ブランド品」が売れまくり!“新たな買い手”の正体とは?2019年の春節時期は、銀座四丁目交差点も中国人買い物客らでにぎわっていた(著者撮影)

経済の減速が続く中国で、高い成長を続けてきたラグジュアリーブランドも苦境に立たされている。「無類のブランド好き」と言われてきた中国人も買い物どころではないのだろうか。一方で、熱い注目が注がれるのが日本のラグジュアリー市場だ。一体、何が起きているのか。(「China Report」著者 ジャーナリスト 姫田小夏)

ブランド業界全体に立ち込める暗雲

 ルイ・ヴィトンに代表されるLVMH、グッチを抱えるケリング、カルティエを擁するリシュモン…。こうしたラグジュアリーブランドの売り上げの3割は中国による貢献だと言われてきた。中国の富裕層に加え、新興の中間層がけん引し、高い成長を遂げてきた市場だ。だがこの業界にも陰りが見えるようになった。

 2023年10月11日、LVMHの株価が急落した。同日の株式市場ではケリング、リシュモンも下落した。その原因として、英ロイター通信は、同年の第3四半期は物価上昇で欧米の若い世代による需要が減速したこと、中国の回復もまだら模様であることを報じた。

 新型コロナウイルスが拡大する直前の2019年に、米マッキンゼーが発表した「中国ラグジュアリーレポート」によれば、2018年、中国の消費者は7700億元(当時約1150億ドル)に相当するブランド品を国内外で購入したという。これは世界レベルでの消費の3分の1に匹敵する規模だ。同レポートは、中国の消費者によるブランド品購入は2025年までに世界消費の4割を占める1兆2000億元に達すると予想していた。

 中国市場はそれほどまでに注目されおり、また業界全体も楽観を崩さず中国に大きく依存してきた。ロックダウンが断行されたコロナ禍でこそ消費は落ちたが、「2023年はV字回復するのではないか」と期待を寄せられていたのがブランド品市場だった。

 だが、今ブランド業界全体に暗雲が立ち込めている。