いつか会社を去るとき、
幸せな気持ちで満たされるだろうか
植木は、パイロットとしてJALに入社し、言わばパイロットを天職としてきた。その植木は経営破綻直後の2010年2月に執行役員運航本部長となり、
経営陣に加わることになる。
植木は今のJALの良さは、どこにあると捉えているのか。これからどんなJALにしたいと考えるのか。
植木 僕は今のJALのいいところは仲間だと思います。それ以外の何物でもない。
僕は自分で決断して役員になりました。ほかの道も十分に考えて、自分で決めて役員になったから、あの時点でいったん自分の仕事人生(パイロット)には区切りをつけた。そのときに、自分で自分の仕事を振り返って、なんと幸せな人間だったかと、そう思えました。パイロットという仕事に魅力を感じていたし、いい仲間もいっぱいいた。
みんなも、この会社をいつか去るときがある。そのときに幸せな思いで去っていってもらいたい。それはお金だけではありません。
その点から言っても、僕はそういう会社を目指していきたい。
いい仲間がいる、人がいる、自分のことをわかってくれる人、自分についてきてくれる人がいる。
その中で仕事ができれば、こんなに幸せなことはありません。
僕はJALを、そういう会社にしていきたい。
もちろん、未来は誰にもわからない。
だが、それにも増して重要なことは、JALの再生が稲盛の教えに応える形で、JAL社員一人ひとりが、「自分たちは何者だったか」「自分たちの仕事の価値とは何だったか」を考え抜き、当たり前のことを当たり前にこなせる会社へと企業文化を変えていったことによって、成し遂げられたことにある。
この意識改革が永続していけば、未来が予想と違っても、きっと苦境を乗り越えていけるはずである。
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