「言わなくてもわかるだろう」が、部下を疲弊させていませんか。暗黙のルールや察する文化は、上司の顔色を読む仕事を増やし、本来の成果を遠ざけます。堂々と言語化できない決まりなら、まず疑うべきです。
SNSでビジネススキルについて情報発信を行い、総フォロワー数が37万人を超え、『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』の著者である「にっしー社長」こと西原亮氏に教えてもらった、誰でも「しごでき」になれる令和リーダーの基本を本記事で紹介します。

仕事ができる人ほど「言われないとわからない」のはなぜ?

「暗黙のルール」や「察する文化」をなくすために

チームにおいて絶対になくさなければならないもの。

それは「暗黙のルール」と「察する文化」です。

これらは上司と部下の間に永遠に埋まらない「ズレ」を生み出します。

超能力者でもない限り、他人が何を考えているかを100%当てることなど不可能です。

口では「いいね」と言っていても、腹の底では「全然ダメだ」と思っているかもしれません。

特に、上司の圧力が強い職場や、ハラスメントが起きやすい職場ほど、この「正解のない察し合い」が横行します。

部下はつねに上司の顔色をうかがい、「これでいいんだっけ?」「怒られないかな?」と疑心暗鬼になります。

その結果、本来仕事に向けるべきエネルギーを、社内の「空気」を読むことに浪費し、チーム全体のパフォーマンスが劇的に低下するのです。

「成果が出るまで帰れない」という呪い

とある企業の事例をお話ししましょう。

その会社には、明文化されていないものの、誰もが従わなければならない「鉄の掟」がありました。

「当日の営業成果が出なければ、定時の18時には帰れない」

さらに、「帰るときは必ず営業部長の席の前を通ってドアを開けなければならない」という、物理的なプレッシャーまで設計されていたのです。

私はこの会社の部長に、「なぜこのような暗黙のルールを放置するのですか。言語化すべきではない ですか」と問いました。すると、彼はこう反論しました。

「西原さん、成果が出ないのに帰るなんて、我々の時代ではあり得なかった。

この厳しさがあるからこそ会社は成長してきたんだ。それに、そんなことまでわざわざ言語化したら(労務的に)問題になるし、あえて言わない『文化』が大事なんだよ」

「言語化できないルール」は、やましいルールである

「言語化したら問題になる」。部長は自分で答えを言っています。

表立って「成果が出るまで残業しろ」と書けばブラック企業として問題になるから、あえて「暗黙」にして部下に圧力をかけている。これはマネジメントではなく、単なる「卑怯な強制」です。

言語化して公表できないルールなら、そのルール自体が間違っています。

堂々と言えないようなルールで部下を縛ってはいけません。

創業が古い企業ほど、「昔はこうだった」「言わなくてもわかるはずだ」という亡霊がさまよっています。

しかし、その亡霊が部下を疲弊させ、退職に追い込んでいることに気づかなければなりません。

そして、社内のルール、判断基準、評価指標といった「仕事のルール」をすべて言語化し、透明にする必要があります。

「書いてあること以外は、気にしなくていい」と言い切れる状態をつくって初めて、部下は「上司の顔色」ではなく「仕事の中身」に集中できるのです。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』から一部を抜粋・編集し作成しました)