私にはそれが残念でならない。それでも大谷の2度のMVPは立派なものだ。だが思うのは、我々が1961(昭和36)年にドジャースのベロビーチ・キャンプで練習試合をした大リーグのチームのほうがプライドを持っていた。そして王貞治や長嶋茂雄が現役だったころのほうが、いまの大谷より野球を勉強していたと思う。

その大谷を、「素材がいい。すべてがいい」といって担当記者が2度もMVP(編集部注/執筆当時。このあと、2年連続3回目のMVPに選出)に選出したということは、大リーグ、アメリカ野球も質が落ちたなと思う。
アメリカには、大谷のような素質のある選手はいくらでもいる。それが大谷のように結果を出せないのがアメリカだ。だからアメリカがすべてではない。アメリカは勉強不足なのだ。そして大谷ももっともっと勉強して、チームが「大谷がいないと成り立たない」というくらいの存在になったらうれしい。