![法光寺(福岡県) 投稿者:@hiro5936 [2024年8月10日]](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/a/d/650/img_ad97f9cea7eb182997aed2d965037e96375566.jpg)
今年も7月から「輝け!お寺の掲示板大賞2025」の応募が始まります。街で見掛けたお寺の掲示板をぜひ、投稿してみてください。昨年末に大賞受賞作品をご紹介しましたが、他の受賞作品をご紹介して参ります。ご参考にしてください。(解説/僧侶 江田智昭)
「幸福」に気づくために必要なこと
昨年12月5日に「輝け!お寺の掲示板大賞2024」の受賞作品が発表されました。大賞受賞作品「望もうと望むまいとあなたは独りじゃない。」の解説はこちらからご覧いただけます。今回の受賞作にも、含蓄のある言葉が多数ありましたので、これから1カ月間にわたり、受賞作品を毎回2作品ずつご紹介させていただきます。
最初の掲示板は、「しあわせは築くものじゃなくて 気づくもの」。
この「中外日報賞」受賞作は、浄土真宗本願寺派法光寺(福岡・田川郡)のもので、本願寺派僧侶である南條了瑛師が法話の際に紹介した言葉から。中外日報社による講評は以下の通りです。
人は誰しも「幸せな人生を生きたい」と願います。でも「幸せ」って何だろう?立派な家や財産を築いたとしても、心の平安は得られません。幸せとは、いま生きていることの不思議に気づく時に心を満たすもの――そんなことを教えてくれます。
周囲から見れば大変恵まれているように見えても、不満を漏らしている人は大勢います。そのような人は自分が幸せだとはなかなか認められないのでしょう。
幸福といえば、フランスの哲学者であり、詩人でもあるアランの『幸福論』が有名です。ちなみに現在、ヒルティ(1891年)、アラン(1925年)、ラッセル(1930年)の手による3冊が「三大幸福論」と呼ばれているそうです。
アランの『幸福論』では、主に努力や意思によって幸福になることが説かれます。その中にはこのような言葉があります。
本当を言えば、上機嫌など存在しないのだ。気分というのは、正確に言えば、いつも悪いものなのだ。だから、幸福とはすべて、意志と自己克服によるものである。
神山幹夫訳『アラン幸福論』(岩波文庫)
つまり、幸福になるためには、外的なもの(資産など)を築く努力よりも、自分自身の内面(心)を整える努力が必要になります。自身の内面をある程度コントロールして、幸せに気づく能力を発達させなければ、外的な資産などでいくら恵まれても幸せになることはできません。
お釈迦さまは経典『スッタニパータ』の中の「こよなき幸せ」という章で、幸せについて以下のように語っておられます。
世俗のことがらに触れても、その人の心が動揺せず、憂いなく、汚れを離れ、安穏(あんであること、─これがこよなき幸せである。
中村元訳『ブッダのことば スッターニバータ』(岩波文庫)
自分が幸せかどうかは、いまの自分の心の状態が決める。このことを忘れないようにしましょう。