【心が無理になったら】メンタルが「無敵」になる、すごい運動・ナンバー2とは?
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
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メンタルに効く運動
メンタルヘルスケアの一つとして運動が良いっていうのはもうご存じだと思います。
「運動は体だけでなく心にも良い」というのは、もはや常識になりつつあります。
でも、どんな運動が、どうしてメンタルヘルスに効果があるのか、実はあまり知られていません。
今回は、運動がメンタルヘルスを効率的に改善させられる、「オープンスキル」と「クローズドスキル」という2つの運動タイプの存在について共有したいと思います。
この2つを適切に組み合わせることで、メンタルヘルスへの影響も大きく変化するものですので、メンタルヘルスを改善させられる運動についてご確認ください。
オープンスキルとクローズドスキルって何?
まず、この2つの運動について見ていきましょう。
「オープンスキル運動」とは、状況が常に変化する中で行う運動のことです。
テニスやサッカー、バスケットボールなどの球技がその代表例です。
突然変化するボールの動きを予想したり、対戦する相手の動きや環境の変化に応じて、臨機応変に対応することが求められます。
「クローズドスキル運動」は、状況が変化しない環境で行う運動です。
ジョギング、水泳、ヨガなどがこれにあたり、自分のペースで、決まったパターンや動きを繰り返すのが特徴となる動きです。
なぜ、この2つを意識することが大切なの?
最近の脳の研究によれば、この2つのタイプの運動によって、私たちの脳には別々の影響が与えられていることが明らかになっています。
オープンスキル運動は、状況判断や意思決定を常に求められるため脳が開放感を感じ、これがストレス対処や感情コントロールに役立ちます。
一方で、クローズドスキル運動は、同じ行動を習慣的に行うことで、安定した気分の維持に貢献してくれます。
規則的な動作の繰り返しは、マインドフルネス効果ももたらしてくれるのです。
どちらもメンタルヘルスに有益な運動ですが、さまざまな研究によれば、オープンスキルとクローズドスキルを組み合わせることで、単一のスキルの運動だけを行うよりも、より大きなメンタルヘルス改善効果が得られることが分かってきました。
特に注目すべき点として、2つのスキルを組み合わせることで「レジリエンス(精神的回復力)」を高める効果があるとも期待されている点です。
クローズドスキル運動で基礎的な心の安定を作り、オープンスキル運動で変化への対応力を養う。
この相乗効果が、現代社会で必要とされるメンタルヘルスケアの新しいアプローチとして注目されているのです。
理想的な組み合わせとは?
では、そんな2つのスキルを発揮した運動は、実際にどのように組み合わせればいいのでしょうか?
たとえば、時間の無い平日は運動できる時間の中でジョギングやヨガなどのクローズドスキル運動で心身の調子を整え、時間が取りやすい週末にはテニスやフットサルなど、オープンスキルを発揮できる運動で脳に適度な刺激と開放感を与える。
このように、一方だけのスキルだけでなく、2つの組み合わせを意識することが効果的なのです。
大切なのは、自分のライフスタイルに無理なく取り入れられるように「オープン」と「クローズド」の2つのバランスを意識すること。
いきなり両方を始めるのではなく、まずは片方から始めたり、自分がどちらか一方に傾きすぎていないか、意識することから始めてみてください。
運動は身体にも、心にも有益な取り組みです。
ですが、ただ取り組むよりも、この2つのスキルを意識した運動によって、より心に良い効果を与えられるようになります。
大切なのは、自分のペースで、楽しみながら続けていくこと。
完璧を目指しすぎず、バランスを意識して始めてみること。
それが、本当の意味でのメンタルヘルスケアにつながるものなのです。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。