風とともに体の中に入ってくる
熱、寒さ、湿気が東洋医学の風邪
仲野 むしろ湿度が関係してるのかなと思ってたんですけど、違うんや。でも、低気圧が通過したぐらいのヘクトパスカルの変化はまず感知できないでしょう。
若林 症状が出ないと意識されないですよね。なぜ症状が出るかというと、内耳に気圧を感知するセンサーがあるからだというところまではわかってきてます。それが前庭神経(注:内耳と脳をつなぐ、バランスを司る神経)を介して脳に不快症状をつくってしまうと。
仲野 そうなんや。鋭敏な人とそうでない人がいるんかもしれんなあ。
若林 風邪といっても、西洋と違うところは、東洋医学にはいろいろな風邪があるところですかね。風+αによって風邪をひくわけですが、その「+α」によって風邪の種類も変わってくる。たとえば、風熱邪(ふうねつじゃ)、風寒邪(ふうかんじゃ)、風湿邪(ふうしつじゃ)などがあって、それぞれ熱、寒さ、湿気が風と共にからだに入ってきたものです。一番多いのは風寒邪です。

仲野 風寒邪っていうのは、我々がこう冬にひくいわゆる…
若林 一般的に想像する風邪です。
仲野 風熱邪とは?
若林 これは夏にひくような風邪です。
仲野 夏風邪ね。このふたつは違う病気として捉えられてるんですか?
若林 一応、風邪として一括りにしますけど、別々の治し方をします。まず、使う薬が違います。科学的に言えば、炎症がどこにどういうふうに出ているかがたぶん違うので、症状の緩和の仕方が違うんだろうと思います。
仲野 どんな薬が使われるんでしょう?
若林 風寒邪の場合は、からだを温める薬を使うのが基本です。葛根湯(カッコントウ)や麻黄湯(マオウトウ)という薬が一番使われます。どちらも麻黄という成分が入ってます。