効果が得られる漢方薬は
風邪の種類ごとに異なる

若林 麻黄のインフルエンザに対する薬理作用は解明されていまして、ウイルスがタンパク質をつくるのを抑制して、サイトカインの抑制をかけるらしいです。

仲野 ほんまですか?ちょっと説明しときますと、ウイルスなどがからだのなかに入り込んで組織で増殖すると、免疫細胞がその組織に集まってサイトカインなどの炎症性物質を出す。そうすると喉が痛くなったり、熱が出たりする。麻黄にはそういう作用を抑える働きがあると?

若林 漢方メーカーのホームページに書いてあるんですよ。

仲野 そうか。それなら一応信用しときます!

若林 風熱邪の場合は、銀翹散(ギンギョウサン)という薬を使ったりします。このなかには、ハッカなどの冷やす成分が入っています。

仲野 風熱邪に対して、風寒邪に効く薬を飲んだらどうなります?

若林 効かんのですよ。効かんどころか、逆に悪化したりします。

仲野 ほんまですか!それは禁忌みたいな感じになるわけですか?夏風邪に麻黄湯や葛根湯を飲んだりすると…

若林 いきなり熱がバーンと上がったりするんですよ!鍼灸学校1年生くらいのときに喉が痛くなって、葛根湯飲んだら熱が40度超えちゃって、えらいことになりました。

 麻黄湯や葛根湯は、寒気がある熱、首周りや肩周りに凝りがあるような風邪のときに飲まないと効かないのです。

仲野 ホンマかウソかを確かめたいんで、今度夏風邪をひいたら葛根湯飲んでみよ。

若林 やめてください(笑)。

西洋医学における風邪の場合は
季節に関係なく生体反応が生じる

仲野 それにしても不思議です。西洋医学的な風邪の考え方でいくと、季節によって流行るウイルスの種類は違うかもしれませんけど、免疫細胞がサイトカインという炎症性物質を出す、という一般的な生体反応は生じるはずです。夏であろうが冬であろうが、それはほぼ同じだと考える。それなのに、ある薬がある季節の風邪には効いて、ある季節の風邪は悪化させるなんて、あるはずがないやろうと思う。

若林 でも、漢方薬が合ってないとひどいことになるんですよねえ。