頭をかかえる女性写真はイメージです Photo:PIXTA

良かれと思ったアドバイスが、相手のやる気を削いでしまうことは多々ある。押し付けがましい助言を繰り返す「アドバイス・モンスター」にならず、周囲を導くリーダーシップを身につけるにはどうしたら良いのか。アドバイス・モンスターに陥らない方法を、カナダのコーチング会社の創業者である著者が提言する。本稿は、マイケル・バンゲイ・スタニエ著、深町あおい訳『アドバイスしてはいけない 部下も組織も劇的にうまくいくコーチングの技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

アドバイス・モンスター3つの顔
その1「教えたがり」

 アドバイス・モンスターが演じる、最もやかましくてわかりやすい人格が「教えたがり」だ。

 このモンスターはあなたに対し、あなたは答えを示すために会社に雇われているのだと説く。

 答えを示せなければ、管理者として失格だ。答えを示すことでしか、あなたは付加価値を生み出せない。答えを示すことが、成功者として認められる唯一の道だとあなたに言い聞かせる。

観察メモ
・注目を集めるのが好き。
・権威、年功、分別、特権、「私が一番よくわかっている」という態度で着飾る。
・時間がなくて急を要するとき(実際、そのようなときが常である)に姿を現す。
・集団行動をする。会話の参加者全員が答えを出したがることもよくある。
・自分が一番よく知っている人間だと、あなたに思い込ませようとする。

アドバイス・モンスター3つの顔
その2「助けたがり」

 アドバイス・モンスターがよく演じる2つ目の人格は「助けたがり」だ。「教えたがり」と比べると、おとなしく、そこまで自信たっぷりには見えないが、実は同じくらい広範囲に出没して悪影響を及ぼす。

 このモンスターは、あなたを脇に連れていき、熱くこう訴える。「あなたがこの場をまとめなければ、すべてが失敗する」。あなたの仕事は、すべての人員、すべての状況、すべての結果に全責任を持つことだ。迷ったら(迷っていなくても)、あなたが助けるようにと、モンスターは言う。

観察メモ
・平凡に見えて、「役に立っている」ふりをするのがうまい。
・特に対立が発生しそうなときに、うろつき回る。
・今にも燃え尽きそうな殉教者じみた空気を醸し出す。
・「被害者」の役割にいる人を見つけたときに最も奮い立つ。
・この組織で自分が一番責任感のある人間だと、あなたに思い込ませようとする。

アドバイス・モンスター3つの顔
その3「コントロールしたがり」

 アドバイス・モンスターがよく演じる3つ目の人格が「コントロールしたがり」だ。3つのうち最も巧妙に動く人格である。影の指揮者として、あなたに対して重みのある優しい口調で、どんなときもその場を仕切ることが唯一の成功への道だとささやく。どんなときも、だ。