三笘薫が141億円の巨額オファーを拒否!カネより優先した「野心」とは?東京オリンピック終了後の2021年に海外移籍した三笘薫 Photo:JIJI

サッカーのイングランド・プレミアリーグを代表するウイングとして活躍している三笘薫が、サウジアラビアのクラブから巨額オファーを提示されながら断りを入れた決断が、世界中を驚かせたのは記憶に新しい。日本代表でも中心を担う27歳は、現状の4倍近くにはね上がる金銭的な条件を含めてなぜ一顧だにしなかったのか。世界中の有力選手へ札束攻勢を仕掛け、自国リーグへ招き入れ続けるサウジアラビアサッカー界の目論みとともに、三笘を巡る動きやその胸中を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

ロナウドに300億円支払うクラブからオファー
日本代表で中心を担う三笘薫の反応は?

 年収が4倍近くにはね上がるビッグチャンスが舞い込んできたら、どのように行動すべきだろうか。収入の大幅アップを最優先させて即決するケースもあれば、新天地で仕事をする上での環境など、さまざまな条件を勘案するのに、ある程度の時間をかけてから決断するケースも少なくないだろう。

 しかし、イングランドのプレミアリーグ・ブライトンでプレーし、日本代表でも中心を担う三笘薫は違った。サウジアラビアのアル・ナスルというクラブから破格の条件とともにオファーが届いたのが、冬の移籍期限が閉まる直前の今年1月末。迷わずに断りを入れたブライトンの決断は、ビジネスチャンスを自ら逃したとして世界中を驚かせた。

 アル・ナスルはサッカー界のレジェンドで、2月に40歳になったポルトガル代表のFWクリスティアーノ・ロナウドに日本円で300億円近い年俸を支払う金満クラブとして知られる。そのアル・ナスルが5400万ポンド(約101億8000万円)の移籍金とともに、三笘を迎え入れたいと入札した。

 しかし、三笘が所属するブライトンがこれを拒否。あきらめきれないアル・ナスルは間髪入れずに、移籍金を7500万ポンド(約141億5000万円)に引き上げるも再び拒絶され、今年冬の移籍市場における三笘の獲得をあきらめた。一連の動きを英国の公共放送『BBC』はこう伝えていた。

「ブライトン側に三笘を売却する意思がないと確認したアル・ナスルは、日本代表選手の獲得へ向けた交渉を打ち切らざるをえなくなった。アル・ナスルは最初の入札よりもさらに高額な入札金を用意したが、ブライトン側はどのような提示に対しても三笘を手放すつもりはないと通告した」