「チームを勝たせる存在になる」
三笘薫の価値は右肩上がりで上昇
しかし、三笘はお金よりも充実感ややりがいを選んだ。現状でも日本円で8億円近い年俸を得ている三笘の心境を代弁するように、ブライトンの地元メディア「サセックス・ワールド」はこう報じた。
「三笘は非常に野心的で、来シーズンはチャンピオンズリーグの舞台で自らを試したがっている」
チャンピオンズリーグとは、ヨーロッパ各国リーグの上位チームが集う最高峰の戦い。川崎フロンターレからヨーロッパへ羽ばたいて4シーズン目の三笘が、まだ一度も戦っていない夢の舞台となる。
プレミアリーグでは上位4チームが、翌シーズンのチャンピオンズリーグ出場権を得る。ブライトンは現時点で8位につけ、4位のチームとの勝ち点差は3ポイント。追いつけ、追い越せを合言葉に、三笘はサウジアラビア行きに断りを入れた直後からスーパーゴールを連発している。
必然的に三笘の価値も右肩上がりで上昇。チェルシーなど、プレミアリーグの上位につけるビッグクラブは、アル・ナスルに匹敵する条件を用意してでも、来たる夏の移籍市場で日本人ウインガーの獲得を目指すとヨーロッパの複数のメディアが報じた。ブライトンがチャンピオンズリーグ出場権を得られなければ、そうした動きはさらに本格化するだろう。
視線の先に三笘は夢と目標を掲げ続けてきた。PK戦の末にクロアチア代表に敗れ、ベスト16で姿を消した22年のワールドカップ・カタール大会。2番手のキッカーを務めるも失敗した三笘は、26年に北中米3カ国で共催される次の大会へ向けて「チームを勝たせる存在になる」と誓いを立てている。
「クラブでも代表でも、そういう存在になっていかなきゃいけない。ワールドカップで活躍して、チームをベスト8よりも先の世界に導ける存在がいい選手と呼ばれると思うので」
2034年のワールドカップ開催が決まったサウジアラビアが、夏の移籍市場でさらなる札束攻勢を仕掛けてくる可能性もある。しかし、最終的には選手の承諾が必要になる移籍で、ワールドカップでの大活躍から逆算してキャリアを歩み続ける三笘が、お金を優先させる可能性は限りなくゼロに近い。