大事なのは「つながり」に気づけるか

 義務教育で学ぶことはすべて、私たちの「生活」とつながっています。つまり、実際に体験できる余地があるわけです。例えば、国語でよく「筆者の意図はなんでしょう?」とか聞かれますよね。あれはコミュニケーションの基礎を学んでいるんです。相手の気持ちを理解しようとすること。これができないと、人間としてモテなくなりますよね(笑)。

 算数や数学的な知識がない人は、生きているといろんな場面で遠回りしがちです。すぐに計算できたり、戦略的に考えられたりする知識やスキルがあると、目的地まで早くたどり着ける。これは物理的な計算だけでなく、投資やビジネススキルにもつながります。例えば「あの車、いつか買いたいなあ」とか、「家族で海外に住みたいなあ」とか、そういった人生の目的地に早く到達できる可能性が高くなるわけです。

 歴史を知らないと、今のニュースがわかりません。理解できないんです。今起きている戦争や経済的な出来事も、すべて過去のこととつながっています。英語も、いまこんなに多くの外国人が日本に来ているわけですから、私たちの生活の至る所に存在しています。どれも決して、テストのために暗記して、終わったら忘れちゃって良い知識ではないんですよね。

 この、自分の生活や他のものとのつながりを意識しながら何かを学ぶことこそが、「理解する」「体験する」ということ。なにかとつながったときに、「あ…! そういうこと? なるほど!」って自分の中で何かがストン、となる感じ。あれが「理解した瞬間」「学びを体験した瞬間」です。

 私たちは、この感覚が大好きです。子どもたちに本当に必要なのは、この瞬間なんだと思うんですよね。ここを体験できさえすれば、今知らない何かを知ることは「おもろい!」になる。教室で学んでいることが、実は自分たちの生活とつながっていると気づけば、「めっちゃおもろ!」になるはずなんです。