【独自】丸住製紙「極秘再建プラン」の全容を公開!コンサル大手が描いた名門再生“幻の25施策”Photo:PIXTA

四国の名門、丸住製紙は民事再生申請から3カ月たっても支援企業が決まらず、破産リスクが高まっている。実は経営破綻の1年3カ月前、コンサルティング大手の経営共創基盤(IGPI)が「事業再生計画」を作成していた。ダイヤモンド編集部が独自入手した、その内部資料などを基に、3回にわたり、丸住製紙の破綻の全貌を明らかにしていく。第2回の本稿は、事業再生計画に盛り込まれた丸住製紙の再建策を明らかにしていく。石炭高や円安を織り込んだ短期の止血策から事業転換、組織構造の変革など中長期施策まで、IGPIが描き、幻に終わった「極秘再建プラン」の中身を徹底検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

“幻”となった「極秘再建プラン」の中身
「短期13施策」「中長期12施策」を徹底検証

「今年度から新聞用紙の受注が激増する。干天の慈雨だ」。日本製紙の幹部は声を弾ませた。同社は新聞用紙で国内トップシェアを誇るが、人口減とペーパーレス化で長期低迷にあえいでいた。

「4月から新聞各社への納品が始まった」。その“干天の慈雨”をもたらしたのは、新聞用紙で国内4位の丸住製紙(愛媛県四国中央市)の経営破綻である。需要がそっくり競合他社に移った形だ。

 丸住製紙が2月末に、民事再生法の適用を申請してから3カ月が経過した。スポンサー企業はいまだ現れず、破産や特別清算に追い込まれるリスクが日に日に高まっている。

 実は、同社が経営破綻する1年3カ月前に、コンサルティング大手の経営共創基盤(IGPI)が、100ページ超の「事業再生計画」をまとめていた。その内部資料を、ダイヤモンド編集部は丸住製紙関係者から独自入手した。

 前回記事『【独自】名門・丸住製紙の破綻前にコンサル大手が策定した再生計画を入手!内部資料が明かす業績悪化の「真因24項目」の全容』では、事業再生計画が指摘する、丸住製紙の業績悪化の「真因24項目」をつまびらかにした。

 今回は再建策を明らかにしていく。IGPIは真因24項目をどう解きほぐし、瀕死(ひんし)の状態にあった丸住製紙を再建しようとしたのか。再生計画には、石炭高・円安を織り込んだ短期13施策と、事業転換や組織構造の変革を盛り込んだ中長期12施策が記されていた。

 加えて、同社が抱える洋紙(新聞・出版等用紙)、パルプ、衛生用紙、売電、セルロースナノファイバー(CNF)の5つの事業ごとに、詳細な現状分析と今後の経営方針が示されていた。

図表:丸住製紙の事業別経営方針(サンプル)

 再生計画は、事業別の経営方針の冒頭で、こう指摘していた。

「丸住製紙の業績悪化の根本原因は外部ではなく内部にある。外部環境の好転を期待した他力本願を排し、厳しい経営環境を契機に、これまで手を付けられなかった、自らの根本原因を改善していかなければならない」

 前回記事で詳述した通り、丸住製紙の業績悪化に関して、IGPIは二つの根本原因を突き付けている。この病根をどう取り除き、黒字転換を図ろうとしたのか。事業再生計画には、その道筋が描かれていた。次ページで「極秘再建プラン」の詳細を検証する。