「オーナー企業大国」の日本において、最強のオーナー企業は――。『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化してランキングを作成した。特集『オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列』の#24は、パルプ・紙15社の業種別ランキングをお届けする。9位に大王製紙、5位にレンゴーが入った。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
大王製紙では2011年に一大スキャンダル
パルプ・紙15社のオーナー企業ランキング
パルプ・紙業界で有名なオーナー企業には、製紙大手の大王製紙が挙げられるだろう。同社では、2011年に一大スキャンダルが発覚した。
創業家3代目で会長・社長を務めた井川意高氏がカジノで約106億円を“溶かした”上に、穴埋めのために子会社から巨額の資金を借り入れていたのだ。井川氏は会社法違反(特別背任)の容疑で逮捕され、実刑に服した。
その後、井川氏はSNSなどでも積極的に発信。今年2月にはダイヤモンド編集部の取材に応じ、知り尽くした製紙業界の動向について解説している(『井川意高・元大王製紙会長が忖度皆無で喝破「紙・パルプ8社」倒産危険度ランキング』参照)。
では、大王製紙も含むパルプ・紙業界で最強のオーナー企業とは。ダイヤモンド編集部は『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「全1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化し、ランキングにした。
ランキングには「同族支配度」についても記載している。同族支配度について、本特集#2『「非上場化しやすい」オーナー企業ランキング【キャッシュリッチな全90社】15位乾汽船、2位北野建設、1位は?』で紹介したように、改めて説明しておく。
下表の通り、『ファミリービジネス白書』(白桃書房)を刊行している日本経済大学大学院の後藤俊夫教授らは、オーナー企業つまり同族企業の条件について「経営面」と「所有面」で分析。創業家による関与度によって、6段階に区分した。例えば、創業家から役員を送り出し、さらに筆頭株主であった場合は、同族支配度が最も強い「A」となる。
次ページでは、オーナー企業ランキングのパルプ・紙15社の業種別ランキングを一挙に公開する。9位に大王製紙、5位にレンゴーが入った。トップ3は。