そして、鉄橋やらトンネルやら、五感に響く、特に聴感を揺さぶられるようなものがたっぷり詰まっています。たとえば、昔の自動扉は「ガラガラガラ!」と音を立てて開閉していましたよね。今の車両の滑らかな閉まり具合、そこに生まれる「音」というのも、進化の証ではないかと思うのです。初めてエアーを使ったドア閉めの音を聴いたとき、「なんて未来的な音なんだろう」と興奮しましたよ。

――鉄道の進化とともに歩んだといえそうですね。

 私は鉄道の進化と音楽を常に連動させながら、育ってきたんでしょうね。だから音楽と鉄道を分けて考えるというのは、私のなかでは意味をなさないんです。区別すらできないと思っていますよ。

メロディを創るため
鉄道の建設中からリサーチ

――2022(令和4)年9月23日に開業した西九州新幹線のメロディも手がけられましたよね。

 開業前にオファーをいただき、視察から始めました。やはり、最初にやるべきことは、足を運ぶことです。いつものことですが、下見は繰り返します。現場を見ること、乗ってみること、そして、足を運んでその路線を感じてみる。これがスタートになります。京阪電車もそうでしたし、泉北高速鉄道や福岡市地下鉄七隈線などもそうでした。西九州新幹線にいたっては、何度も足を運びましたね。下見やロケハンを繰り返し、しっかりと取材をし、聞き取りもします。

――現地の空気に触れるということですね。

 西九州新幹線のときは、建設現場を見せてもらったりもしました。完成予想図を見せてもらったり、完成後はどのような発展を想定しているのか、さらに、どんな人たちが住んでいるのか、ダイヤはどのように組む予定か、新幹線に対してのニーズ、長崎に向かう通勤需要など、いろいろとリサーチしました。