![通善寺(福岡県) 投稿者:@hiro5936 [2024年9月20日]](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/7/7/650/img_77dd55f58301e9aa471f02415dbb4cb6270640.jpg)
今年も4月から「輝け!お寺の掲示板大賞2025」の応募が始まります。街で見掛けたお寺の掲示板をぜひ、投稿してみてください。今回は24年度の「文化時報賞」と「仏教タイムス賞」の受賞作品をご紹介いたします。ご参考にしてください。(解説/僧侶 江田智昭)
それぞれの「正義」の取り扱い方
「輝け!お寺の掲示板大賞2024」の受賞作品、今回はまず「文化時報賞」受賞作から。
正義の反対は別の正義
こちらは真宗大谷派通善寺(福岡・赤村)の作品。講評は以下の通りです。
正義の反対は悪、と思いがちですが、そうではありません。親子や夫婦、職場や学校、政治や国際社会。立場が変われば、それぞれの主張が正義です。「どっちもどっち」で思考停止しないよう、ご住職から教えを聞きたくなりました。
『阿弥陀経』という経典に「共命鳥(ぐみょうちょう)」という鳥が登場します。この鳥は一つの身体に頭が二つあり、一羽の名前をカルダ、もう一羽の名前をウバカルダと言います。同じ身体を共有しているにもかかわらず、二羽の仲は非常に悪く、いつもそれぞれが正しさを主張し、自分勝手な行動を繰り返していました。
ある日カルダが美味しい果樹の花を勝手に食べたことにウバカルダは激怒し、腹いせに毒花を食べて復讐しようとします。その結果、身体を共有している二羽は両方共に死んでしまうのです。
共命鳥が私たちに教えてくれる教訓の一つは、「他を滅ぼすことは己を滅ぼすことにもつながる」ということです。それぞれが正義を主張し、折り合わなければ、結局自身も含めた全体が滅びることになる。これは世界・会社組織・友人関係などすべてに当てはまることではないでしょうか?
現在の世界情勢を見ると、それぞれのエゴ(正義)がぶつかり合い、戦争にまで発展しています。これがいつか世界全体の破滅につながるかもしれません。そのような悲劇を起こさないためにも、「正義」の取り扱いにはくれぐれも気を付けたいものです。