特にトランプ大統領やヴァンス副大統領とゼレンスキー大統領との口論からは「戦争を終結に向かわせるために必要不可欠なもの」が見えてくる。それは「自国では決して認められない価値観もグッと堪えて飲み込むこまなくてはいけない」ということだ。
会談の発言を見ていくと、この会談が荒れたきっかけは、トランプ大統領がプーチン大統領に肩入れをしているのではないかという記者の指摘だ。トランプ大統領は「これは誰かに肩入れするという問題ではない」と説明し、そこにバンス副大統領がこんな感じでフォローをした。
「和平への道、繁栄への道とは、外交に取り組むことかもしれない。アメリカがいい国になるには外交に取り組むことだ」
これにカチンときたのが、ゼレンスキー大統領である。「バンス副大統領、どういった外交の話をしているのか。どういった意味で言っているのか」とかなり厳しい口調で詰め寄ったところから両者の議論がヒートアップ、トランプ大統領も「彼が正しい」と参戦して、例の口論への発展していく。
さて、皆さんはこのようなやりとりを聞いてどう感じるだろう。
やはりゼレンスキー大統領がバンス副大統領にキレるのは無理もないという人が多いのではないか。今日までウクライナでは無数の罪もない人々が命を奪われてきた。こうしている今もドローン攻撃などで死者がでている。「外交」もへったくれもない。
国内外のメディアでも、そんなゼレンスキー大統領の怒りや憤りに、トランプ大統領もバンス副大統領ももうちょっと寄り添って、ロシアやプーチン大統領がやったことを厳しく批判すべきだという意見がかなりあり、実際にあの会談でもそのような質問があった。
バイデン前大統領が戦争を
止められなかった必然
ただ、「戦争終結への話し合い」を成功に進めたいのならば、こういう感情はグッと飲み込まなくてはいけない。もちろん、ゼレンスキー大統領がロシアへの憎悪をある程度口にするのはしょうがない部分もある。しかし、そこにあまりに執着して、仲裁役にまで同じような感覚を求めても交渉はうまくいかない。
「なぜ人類の敵、プーチンを悪と断罪することを遠慮などしなくてはいけないのだ」と怒りでどうにかなってしまう人も多いだろうが、その理由を会談中にトランプ氏が非常に端的に説明している。