時計遺伝子(編集部注/体内時計をつかさどる遺伝子群のこと)ビーマルワン(Bmal1)のサーカディアンリズムの頂点位相時(時計遺伝子パーツーのサーカディアンリズムのトラフ時=リズムの最低値を示す時刻)に投薬すると、抗がん剤の効果が最も大きくなりました。時間変調効果には、時計遺伝子クライのサーカディアンリズムとの関わりがあることも指摘されています。

抗がん剤の効果が最大化する時刻は
腫瘍マーカーの値に関係あり

 薬の効果にみられるサーカディアンリズムには、時計遺伝子のサーカディアンリズムとの関わり以外にも、生体の薬剤への感受性、肝臓や腎臓などのはたらき、薬物の吸収・分布・代謝・排泄に関与するさまざまな要因のサーカディアンリズムとの関連が指摘されています。前述の体温や時計遺伝子の他に、たとえば、腫瘍マーカーのサーカディアンリズムが、投薬スケジュールを決めるための指標として用いられています。

図表1:腫瘍マーカーの日内変動図6.3 腫瘍マーカーの日内変動 同書より転載
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 腫瘍マーカーの値が最も高くなる時刻に抗がん剤を投与すると、薬効が最大化することが確かめられています。ただし、腫瘍マーカーのサーカディアンリズムは、同じ人でも体調によって、また個人間でもそれぞれ異なることが多いため、個々にその日内変動を調査したうえで投薬時刻を決定することが必要です。

 治療にともなう副作用の強さにも同様のことがいえ、リズムを考慮した投薬スケジュールを実施することで、2倍から10倍もの副作用軽減効果が現れることが確認されています。

最大の課題点は最適な投薬時刻が
薬剤や個人によって異なること

 課題は、抗がん剤の最適な投薬時刻が、薬剤によって異なることです。このため、薬剤ごとに最適な投薬時刻を調べることを余儀なくされます。