韓国・尹大統領の「52日ぶり釈放」でも復帰は未知数、「反日政権」成立の最悪シナリオはあるか?3月8日に釈放され、支援者に答える韓国の尹錫悦大統領 Photo:Chung Sung-Jun/gettyimages

2024年12月に戒厳令を発動し、今年1月に逮捕・起訴された韓国・尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、突如、3月8日に釈放された。尹大統領の弾劾・罷免に反対する声が高まってきていたとはいえ、この突然のニュースには国民も驚いている。一方、すでに次期大統領選挙に向けて動き始めていた政治家たちの間では、さまざまな思惑が渦巻いている。尹氏が釈放され、大統領の座はこれからどうなるのか?日本が危惧していた通り、反日&親北政権が成立するのか……最新事情をまとめた。(韓国在住ライター 田中美蘭)

拘束されたあと、今年に入って尹大統領の支持率が上がり始めた

 尹錫悦大統領の突然の戒厳令発令による政局混乱から3カ月。当初は左派系野党「共に民主党」が主張した「内乱罪」に世間が呼応し、弾劾・拘束を支持する声が圧倒的多数を占めていた。しかし、年が明けた頃から少しずつ世論の風向きに変化の兆しが見え始めた。10~20%台と低水準で推移していた尹氏の支持率が、拘束後、徐々に上昇し始めたのである。

 尹氏が戒厳令に踏み切った理由が「北朝鮮の脅威とそれに追随する反国家勢力から韓国を守るため」であるという主張は荒唐無稽だと当初は言われていたが、尹氏が拘束後も一貫して主張を変えなかったことで、メディアの左派野党寄りの報道に疑問を呈する声が出始めた。