では、飲食店は食の安全を確保しつつどのように配膳をおこなっていけばよいか。不思議とロボ廃止案はほぼ聞こえてこず(余談だが、日本はロボットが受け入れられやすいマーケットだという話がある)、一般の人たちが「こうしてみてはどうか」といった知恵を出し合い話し合っていて、それがなかなかどうして実りある議論に思えたのだが、そちらに触れる前に、なぜ横取りが起きるのかや、配膳ロボットの現状などについてを論じたい。
食べ放題における横取りの理由
「青く光る棚」ってどれ?
まず、なぜ横取りが起きるのか。真っ先に挙げられるのが「取り違い」である。青く光る棚の皿を取ることを知らない客(店の説明を流し聞きしている客)もいるだろうし「青く光る棚を取る」と理解していても実際現物を眼の前にすると戸惑うことがある。
筆者談だが、初めて利用した際はその「青く光る棚」の上と下のどちらを取ればよいのかわからなかった。
しかもロボット相手だからといって「人間サマの挙動をそのデジタルの感性でゆっくり見守っておけやァー」とはならず、むしろあせらされることの方が多い。初めてのロボット扱いに戸惑うし、自分が正しく利用を終えてこの子をいち早く別の業務に移らせてあげなければならない親心と店への配慮や、ロボ相手だから一度間違えると何か面倒で取り返しが付かないことが起こるような漠たる不安もあり、一筋縄ではいかないのである。
とはいえ慣れてしまえばなんということはない。だが利用方法を完全に理解しても取り違いは発生する。特にしゃぶ葉などではロボが一度で複数卓を回って料理を運ぶことがあり、これも取り違いを誘発する要因になっていると推測されている。
自分のコースには含まれていない上位の料理を意図的に横取りしたとおぼしきケースもあるようで、コンビニのコーヒーマシンでMを買ってLを入れる人もいると聞くし、そうしたせこい人は少しばかりいそうである。