配膳ロボットは2010年代半ばから登場したがあまり注目はされていなかったところ、コロナ禍で一気に世界中に普及した。ここ数年で急速に広まりつつある新しいテクノロジーであり、発展の余地は十二分に残されている。上記の工夫のワンポイントが、今後配膳ロボに実装される可能性は大いにあるだろう。
個人的に、顧客から文句なく支持を得られそうなのは「扉・蓋」案である。取り違いをなくせるし、衛生面も守られて食の安全が確保される。
現在世界中で稼働している配膳ロボットはほとんどが料理をむき出しにして運ぶ仕様(アクセサリにフードカバーが用意されているものもある)だが、ホテルのルームサービスなどを運ぶのに適しているとされる「KEENON W3」という配膳ロボは胴体の部分に最大4つの小部屋を備えることができてそれぞれに扉がついている。皿を何かで覆って運ぶのであれば、こうしたタイプが参考にされそうである。
従業員の9割が「配膳ロボと働きたい」
子どもウケもいい
人手不足や人件費削減で注目される配膳ロボだが、顧客満足度と、ロボとともに働く従業員の満足度が非常に高い。ロボット導入後に関する意識調査によれば9割の客が「満足」以上を選択し、ランチピークの回転率2%アップ、片付け完了時間削減マイナス35%、歩行数削減マイナス42%と素晴らしい数字を示している。
加えて、配膳ロボと働くスタッフの9割が、ロボと働くことに満足していて、スタッフの8割以上が配膳ロボがいる店で働きたいと回答しているそうである。
また、配膳ロボは全世界で子供ウケが非常によろしいようで、業務の効率化のみならず集客にも一役買っている。
食べ放題・飲み放題制のある店では、客のオーダーが頻繁に入ることで従業員の仕事が激務になりがちで、従業員の負担を減らす方策が模索されてきていた背景から、真っ先に配膳ロボの導入が検討された。焼肉きんぐなどでは2020年から先行導入が行われている。その後2021年、すかいらーくが配膳ロボの大規模導入をスタートさせて、飲食店の配膳ロボはいよいよ一般的なものと認識されるようになる。