![西光寺(大分県) 投稿者:hirolotti [2024年8月4日]](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/3/550/img_c3e60a5e9e772ed43f82b13763c53b94161292.jpg)
今年も7月から「輝け!お寺の掲示板大賞2025」の応募が始まります。街で見掛けたお寺の掲示板をぜひ、投稿してみてください。今回は24年度「寺社NOW賞」と「彼岸寺賞」の受賞作品をご紹介いたします。ご参考にしてください。(解説/僧侶 江田智昭)
それぞれの「正義」との向き合い方
「輝け!お寺の掲示板大賞2024」の受賞作品、今回はまず「寺社NOW」受賞した西光寺(大分・日田市)の作品から。
声を上げられる人だけが世界を構成しているわけではない 小川公代
この言葉が記された『世界文学をケアで読み解く』(朝日新聞出版)の著者である小川公代さんは英文学者で、上智大学外国語学部英語学科教授を務められています。講評は以下の通りです。
掲示板のメッセージに、ふと足を止める。添えられた名前を頼りに出典を探り、入手し、一読する。するとそれは、いのちや他者を大切にする「ケア」をキーワードに世界の文学を読み解いていく気鋭の英文学者による至言だった。他者の(そして自分自身の)言葉にならない声に耳を傾ける。お寺の掲示板を介して、同じ本を読んだに違いない僧侶と無言の会話をした心持ちになる。
先日、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談が大きなニュースとなりました。この会談で両者のどちらが良かった・悪かったかは別にしても、ゼレンスキー大統領はウクライナ国内で傷つき、声を上げることができない民衆や兵士たちの声を会談内で伝える意図があったのだと思います。
トランプ大統領にとってはそのような声よりも、ウクライナ国内の鉱物資源や自身主導による戦争終結が重要だったのかもしれません。約40分間の会談の中で、ゼレンスキー大統領がウクライナの惨状をいくら説明しても、興味深く聞いているようにはとても見えませんでした。
これからの世界では、戦争の継続や終結は、トランプ大統領やプーチン大統領などわずか数人の権力者によって決まってしまうのかもしれません。そのような人たちは「声を上げられる人たちだけが世界を構成しているわけではない」ということを、特に胸に刻んでおく必要があると思います。
そして私たちも。ウクライナには現在も苦しみ続け、声を上げられない人たちが大勢いることを忘れないでおきましょう。