【マンガ】大金持ちが教える「成功する人」と「失敗する人」の決定的な違い『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク

三田紀房の起業マンガ『マネーの拳』を題材に、ダイヤモンド・オンライン編集委員の岩本有平が起業や経営について解説する連載「マネーの拳で学ぶ起業経営リアル塾」。第2回は、ビジネスと「ウソ」の関係を考える。

商売人に必須の「ウソ」と「才能」

 元ボクシング世界王者で現在は起業家として苦戦の日々をおくる主人公・花岡拳は、テレビ番組で出会った実業家の塚原為ノ介から「もうかる商売の三原則」について教えを受ける。

 塚原は、花岡が手がける居酒屋の経営はおろか、飲食業から撤退するという条件を突きつけ、それをのめば「1億円の事業資金を提供する」と提案する。ここまでが前回のあらすじだ。

 資金を受け取るか否か――。ボクシングの1ラウンドと同じ3分の間に、結論を出すよう求める塚原。対して花岡は、あるウソをついて1億円を受け取ろうとする。

 塚原はそんな花岡のウソを見透かした上で、花岡に対して「君は商売人として持っていなくてはならない、第一の極意を才能として持っている」「それはまず…嘘つきである…ということだ」と投げかける。

ウソを「本物」に変えるには

漫画マネーの拳 1巻P42『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク

 もちろん塚原が言う「ウソ」とは、詐欺やペテンのたぐいを指しているわけではない。「今の時点では実現していないことを実現する」という意味で、「(実現していない)ウソを(実現した)現実に変える」というものの例えだ。

 これは、実際の起業の現場においては至極当たり前のことでしかない。

「タイムマシン経営」という言葉のとおり、海外で成功したビジネスを日本の商習慣のもとで再発明する。自分が働いている業界における長年の課題について、解決策を考えて事業化する。大学で研究している技術の種を転用し、新しいビジネスに仕上げる――。

 さまざまな道はあるが、いずれにしても起業家はそのビジネスを「ゼロ」から育てるわけだ。

 スタートアップの世界では、まずはゼロから最小限の機能を有する製品やサービスを作り、それが顧客や市場のニーズを満たすものなのかを測定して、事業が成功するかどうかを占うのが一般的だ。

 そんな最小限の事業のことを「MVP(Minimum Viable Product)」、市場のニーズにフィットすることを「PMF(Product Market Fit)」と呼ぶ。素早くMVPを作り、ときには改修したりピボット(事業転換)したのちにPMFすることで、初めてビジネスが「本物」になっていく。

 多くのスタートアップは、このPMFをもって、外部から大規模な資金調達を行い、自らのビジネスを加速させていくことになる。1億円の資金提供を狙う花岡は、これからどのようにしてウソを現実にしていくのだろうか。

漫画マネーの拳 1巻P43『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
漫画マネーの拳 1巻P44『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク