Photo by Shuhei Inomata
大手新聞社の中で唯一デジタルシフトを軌道に乗せた日本経済新聞社が、順調に売上高を伸ばしている。2025年12月期の売上高は3938億円と、ここ10年で最高となった。純利益も110億円と3年ぶりに100億円台を回復した。一方、ダイヤモンド編集部が同社の財務を分析すると、“稼ぐ力”は劇的には向上していない実態が明らかになった。特集『エネルギー危機、インフレ、人手不足で明暗!通期決算「勝ち組&負け組」【2026 春】』の本稿では、米ニューヨーク・タイムズと比較しながら、日経のウィークポイントを解説していく。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
販売収入減少もデジタル収入でカバー
巨額買収でも財務基盤は揺るがないが…
紙からデジタルへの転換に各新聞社が苦戦する中、日本経済新聞社は健闘している数少ないメディアといえる。
同社の公表資料によると、2026年1月1日時点で朝刊発行部数は125万4254部(前年は133万8314部)、日経電子版の有料会員数は106万2666人(同102万943人)。会員数の増加幅は紙の部数減に追い付いておらず、販売収入は減少傾向ではあるものの、他のコンテンツでカバーをしている。
特に15年に約1600億円で買収した英フィナンシャル・タイムズ・グループ(FT)のデジタル広告とイベントの収入、経済データサービスの「日経NEEDS」、法人向け生成AIサービス「NIKKEI KAI」がけん引した。そうした背景から社業であるメディア・情報事業の売上高は前年比3.1%増の3898億円だった。
「他の大手紙が苦戦する中で十分頑張っているといえる。その証拠に日経はここ数年、数千円規模でベアもしている。業績は決して悪くないという証拠だろう」(別の全国紙社員)
足元の経営状況も、比較的堅調といえる。かねて懸念事項は巨額買収をしたFTののれんだった。25年12月期決算におけるのれんは806億4100万円を計上。これについて、日経は有価証券報告書において「FTが提供するデジタル事業の成長戦略、イベント事業の拡大戦略などの進捗と今後の成長見通しを検討した結果(中略)減損の兆候はないと判断しています」としている。経営の基本方針においても「FTをパートナーに迎え、世界で最も信頼されるメディアへの道を歩んでいます」と自負している。
日経は23年に策定した長期経営計画で「30年の連結売上高4000億円、営業利益率10%」を掲げた。後者は25年12月期4.27%と道半ばだが、前者はほぼ達成したといってもよい。
世界最大の経済メディアとして歩みを進めようとしている日経だが、財務諸表を精査していくと、意外な「弱点」が明らかになった。次ページでは、日経が電子版の有料会員数だけでなく、「稼ぐ力」が伸び悩んでいる現状や、デジタルシフトに成功した米ニューヨーク・タイムズ(NYT)との歴然の差を明らかにしていく。







