2022年に実施したアンケートでは、回答者の職業の属性を分野別に整理しています。

 そこには2つの試みがあります。1つ目は、それまでの調査で芸術と芸能の境が曖昧で答えづらい方がいるため、両方を併記するようにしたこと。2つ目は、芸能界に隣接するメディア業界にハラスメントの加害者と被害者が交錯したケースが多く見受けられたことから、メディア業界の方も対象にしたこと。

 その結果、各業界においてハラスメント行為が多いのは次のような職業の方々だったと回答されました(複数回答、417名)。

1 監督・演出家・スタッフ  246名(59.0%)
2 上司・先輩・マネージャー  245名(58.5%)
3 同僚・後輩・同業者  160名(38.4%)
4 プロデューサー・キュレーター  104名(24.9%)
5 発注者・取引先・クライアント  102名(24.5%)
6 経営者  50名(12.0%)
7 取材対象者・監修者・著者等  34名(8.2%)
8 評論家  20名(4.8%)
9 スポンサー  15名(3.6%)
10 コレクター  6名(1.4%)

暴言・容姿いじり・性的強要…
芸能界のきらびやかさの裏に潜む暴力

 以上の回答は、たとえば映画、演劇、音楽、テレビ番組、ドラマ、美術、文筆、出版、舞踊、コマーシャル、新聞などの多種多様な分野から寄せられました。このような回答は、受注形態が複雑化した業界の構造を感じさせる結果でもあります。

 被害内容はセンシティブな内容を含むので回答しやすい質問にしました。具体的な被害をハラスメント類型別に質問した結果は、多い順に次のとおりです(複数回答、417名)。

1 精神的な攻撃[脅迫・名誉毀損・侮辱・酷い暴言]  346名(83.0%)
2 容姿・年齢・身体的特徴について話題にした・からかわれた  238名(57.1%)
3 過大な要求[不要・遂行不可能なことの強制]  233名(55.9%)
4 性経験・性生活の質問・卑猥な話や冗談  211名(50.6%)
5 人間関係からの切り離し[隔離・仲間外し・無視等]  207名(49.6%)
6 プライベートへの詮索・過度な立ち入り  201名(48.2%)
7 不必要に身体に触られた  148名(35.5%)
8 過小な要求[職能・経験・能力とかけ離れた仕事をさせた・仕事を外した]  132名(31.7%)
9 食事や交際をしつこく求められた  120名(28.8%)