なぜ被害者は相談できないのか?
他人に頼れない構造的な「闇」
一方で現場にいる身としての肌感覚では納得のいく数字で、この程度は起こっているだろうと感じます。やはりデータになると客観的に考えられると実感します。
自由記述に寄せられた被害事例には次のようなものがあります。
●パワハラの声
「『わきまえろ!』と暴言を吐かれた」
「撮影現場で四六時中、怒号や怒声が鳴り響く」
「演出家にカバンで殴られた」
「2、30人の受講生がいる前で、平手打ちをされた」
「グループLINEで『使えないやつ』と言われた」
「電話で『クズ、役立たず』などの暴言を吐かれた」
「髪の毛をつかまれて部屋中を引きずり回された」
●セクハラの声
「ドラマの衣装合わせで、仕切りをつけてもらえず下着を見られたくなくて恥ずかしがっていたら、『女優の○○さんは堂々と人目を気にせず脱いでいた。女優はそうでないと』と言われ、下着を脱ぎ裸を数人に見られた」
「脱ぐ演出を強要された」
「仕事で激しい絡み(ラブシーン)が多く、彼女にトラウマを植え付けてしまった。(絡みがしたくて)役者をやっていたのではない」
「合宿先で無理矢理セックスをされた」
●モラハラの声
「友達家族との連絡を禁止」
「『お前と芝居をやりたいと思っている人はいない』否定される」
「稽古場でみんなの前で演出家が特定の俳優のパフォーマンスを徹底的に罵倒し、精神的に追い詰めて降板に至らしめた」
●マタハラの声
「妻の妊娠のため、公演の参加回数を減らしたい、次回公演を休みたい、と申し出たら拒否された」
「面倒くさいから妊娠しないでね、と言われた」
●優越性のあるハラスメントの声
「ノーギャラでの脚本執筆依頼」
「大学のゼミの担当教員によるアカハラ」
「展覧会キュレーターによるセクハラ」
「演出家にマッサージを頼まれてホテルの個室や自宅に行かなければいけなかった」
「演劇の現場で、演出家に高圧的な態度を取られ精神的に追い込まれた。その後、約三年にわたりフラッシュバックが起き不安定な精神状態が続いている。しかも出演料が支払われなかった」
「酒席の死角でディレクターに抱きつかれキスを強要された。無名俳優だから手を出しても問題にされないだろうと見下されているようでした」
「フリーランスの立場なのだから『仕事が欲しいなら従え』とレイプされた」