加えてトイレや更衣室を含めた環境整備の推奨や、トラブル、ハラスメントについての相談窓口の整備やストレスチェックの勧奨にまで言及しています。
最初にこれを読んだ時、実態に合った生々しい内容だと思いました。これまでしっかりした安全対策をとっている業界にとっては基礎的で簡潔すぎると思われるでしょうが、そもそもフリーランスには安全対策が何もされていなかったわけですから、目を疑うほど画期的です。
私たちの労災センターは、この通知にそって事故防止対策や安全研修を実施しています。
多様な芸能職種のための各地方における安全衛生委員の取り組みには特色があります。いくつか紹介します。
マジシャンは全国に車で移動して公演をすることが多いそうですが、4時間以上の運転を禁止にして、運転をした日はマジックをしないように指導しているそうです。さらに事故の起こりやすい設営前に必ずラジオ体操すると不思議なことにぎっくり腰などの急病が減るそうです。
映画監督が労災勉強会
芸能界で広がる働き方改革
映画の制作現場で事故が多いことに胸を痛めている映画監督の深田晃司さんは、労災保険の勉強会を月に1度程度、定期的に開催しています。これまで通算で数百名が参加してくださり、質疑応答で「こういう仕事でも労災適用されますか?」などの話で盛り上がることが多いです。さらに深田さんは映画関係の仲間たちとハラスメントに関するガイドラインを作成しました。
アクションや殺陣、スタントのコーディネーター等をしている長崎県の佐藤憲さんは、体のメンテナンスのための整体サービスを俳優やスタントマンに提供しています。
北海道の演出家の羊屋白玉さんは、アーティスト支援のためのグループを立ち上げ、1人1人のアーティストに対してオーダーメイドの支援をしています。兼業・副業をしているアーティストのワークライフバランス支援や、集団精神療法をベースにした、ハラスメントの抑止・防止、ハラスメント事後の被害者と加害者の間の関係改善に向けた働きかけを始めています。