「無くなってもいいじゃないか」

 そう考える人もいるのでしょう。

 しかし、冒頭から申し上げている通り、人材やエネルギーや食糧を生産する地方がなくなって、それらを消費する大都市だけが残ることなどありえないのです。

 まずはその考え方を変えなくてはいけないのではないでしょうか。

 東京から帰ってきた人たちや、地元の志ある人たちが「あれをやってみよう」「これをやってみよう」と言ったら、それをきっかけに少しずつでも変えていくことが必要ではないでしょうか。

 皮肉なことに、この数十年、「いいじゃないの今のままで」でやってきた地方のほうが、手つかずの分野や自然が多く残されているという面もあります。だから、怠けていた地方のほうが、目覚めれば大きく変われる可能性はある。

 中途半端に都市化している地域よりも、そういうところのほうが伸びしろがあるという面もあるのかもしれません。

「低成長でもいい」「このままでいい」と言うほうが、なんとなくインテリっぽいし、文化的な匂いもするかもしれません。しかし、こういう考え方は実は若い人に対して、非常に残酷であることを自覚していただきたいと思います。

「あとは下り坂になるかもしれない。ツケはそちらに回しておく。よろしく」

 それでいいはずがありません。

 そして、この問題に率先して取り組むことは、国際的にも意味のあることだと考えています。少子化、超高齢化は先進国共通の悩みですが、中でも日本はそうした問題にもっとも早くぶつかって最先端を走っている国です。

 その課題に率先して取り組んで、解決策を見出していくことは、「課題先進国」としての日本が世界に果たすべき責任でもあるのではないでしょうか。原発事故以降、エネルギー問題に関して、「資源のない日本こそ、率先して再生可能エネルギー問題に取り組み、その先進国になるべきだ。それが日本の役割だ」という主張をよく耳にするようになりました。

 その論理でいけば、やはりこの少子化、高齢化に取り組むこともまた国際的に求められている日本の役割の一つであると考えられます。